自販機で同じ商品を2本以上並べる理由は?

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 飲料の自動販売機を見ると、同じ商品が数本並べられていることがあり、不思議に思ったことはありませんか。SNS上では、「最近の自販機、同じ商品が並びすぎ」「同じ商品を並べるのは自信満々」という内容の声が上がっています。

 なぜ同一商品を2本以上並べて販売しているのでしょうか。コーヒー飲料「BOSS(ボス)」シリーズなどを販売する、サントリー食品インターナショナル(東京都港区)VM事業本部 課長の岩田章宏さんに聞きました。

「人気商品」「自販機の設計」が理由

Q.自動販売機で同じ商品を2本以上並べている理由について、教えてください。

岩田さん「理由は、大きく分けて2つあります」

(1)各ロケーションにおける人気商品の販売を強化
当社の場合、各ロケーションの自販機販売データなどに基づき、売れ筋商品や新商品を取りそろえており、場合によっては同じ商品を2本以上並べることがあります。

例えば、オフィスに設置されている自販機では、「サントリー天然水」「GREEN DA・KA・RA(グリーン ダ・カ・ラ) やさしい麦茶」「伊右衛門」など、ミネラルウオーターや無糖茶を多めに取り扱う一方、パチンコ店に設置されている自販機では、「ボス 無糖ブラック」など、缶コーヒーを多く取り扱っています。

このほか、サービスに合わせて、取扱商品を最適化しています。例えば、熱中症対策を目的とした法人向けの自販機「DAKARA給水所」では、「GREEN DA・KA・RA(グリーン ダ・カ・ラ)」などの熱中症対策の飲料を多めに販売しています。

(2)自販機のラック数よりもボタンの数の方が多い
自販機の中にある飲料の保管スペースを「ラック」と言います。自販機の中には、設計上、ボタンの数がラックの数より多いものがあります。その場合、ボタンとその上にある飲料の見本スペースが余るため、その部分を埋めるために同じ商品を2本以上並べることがあります。

ちなみに、当社は、自販機の余剰ボタンを有効活用した「ボスマート」という法人向けの軽食販売サービスを展開しています。このサービスは、自販機の横に設置された棚から商品を取り出した後、自販機の当該商品のボタンを押して代金を支払う仕組みです。

 同じ飲料メーカーの自販機でも、設置場所によって商品のラインアップが異なることがあります。さまざまな自販機のラインアップを見比べてみると、飲料市場の流行が分かるかもしれません。