築25年の物件を購入したら、あと何年住める?マンションの寿命についてお答えします
「大人の学び」に興味はあるけど、効率的に学びたい。
そんな忙しい読者に向けて、東カレWEB編集部が、教養系のYouTube動画をテキストで解説。
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▶前回:マンション購入時「修繕積立金が安くてラッキー」と思ったが…。入居後に大後悔!?
宅地建物取引士の資格を持ち、「住宅購入エージェント」としてYouTubeで発信している水智氏の動画を紹介する。
水智 崚(みずちりょう)
不動産業界が大嫌いな住宅購入エージェント
「後悔しない住宅購入」の方法を追求&発信
SNS
YouTube:Tokyo Residential Academy
Instagram:@tra_miz
Twitter:@tra_miz
中古マンション、特に築古のマンションを購入するときに多くの人が気になるのが、マンションの寿命だろう。
そこで今回は、「マンションの寿命と建て替え」についての動画をまとめたものを紹介する。
中古マンションの購入を考えている方は、要チェック!
マンションって築何年まで住めるの?
築20〜30年のマンションを検討している方からの質問で多いのが、寿命はどうなの?建て替えになったりするのか?というもの。
それらの疑問について答えていく。
勘違いしている人が多い、マンションの寿命について
マンションの寿命について調べていくと、33年、47年、100年以上という数字を見ることがある。
まず、33年というのは、東京カンテイが調査した「実際に建て替えが行われたマンションだけを対象とした、マンションの平均築年数」だ。
これを、そのままマンションの寿命だと捉えている人がいるが、全てのマンションを対象にして、平均築33年で建て替えられたわけではないので、注意が必要だ。
また、マンションの建て替えが行われる場合、マンションが建物として寿命を迎えたわけでないことも多いので、平均建て替え年数=マンションの寿命とは言えない(こちらについては、後ほど解説する)。
続いて47年という数字は、「国が定めた鉄筋コンクリートの法定耐用年数」だ。
法定耐用年数とは、税務上の資産価値を減価償却期間のこと。つまり、この数字も実際のマンションの寿命とはいえない。
では、100年以上とは何か。こちらは、「鉄筋コンクリートの寿命の話」だ。
この数字が、寿命という意味では1番近いが、正確には、マンションの寿命は=鉄筋コンクリートの寿命ではない。
では、マンションの寿命とは何なのか。
マンションの寿命を知る上で重要な3つの視点
マンションの寿命は、「物理的寿命」「経済的寿命」「社会的寿命」この3つに分けて考える必要がある。
1つ目に「物理的寿命」とは、構造躯体である鉄筋コンクリートや、給排水管、その他仕上げ材、電気設備の寿命のことをいう。
鉄筋コンクリートについては、多くの論文で100年以上持つとされている。
それに比べて給排水管などの寿命は、もっと短い。
物理的寿命による建て替えは、コンクリートの寿命ではなく、給排水管の寿命によるものが多い。
最近のマンションは、給排水管の寿命が訪れたときは、給排水管だけを容易に交換することができるように設計されている。
古いマンションだと、コンクリートの中に給排水管が埋まっていて、取り替えが容易ではないために、建て替えがされたというケースがある。
2つ目の「経済的寿命」について。
これは、適切にマンションを管理をするための資金が十分に集まらず、結果的に建物の寿命が縮まるということをいう。つまり「経済的寿命」とは、資金不足が理由で、1つ目の物理的寿命を全うできないケースだ。
3つ目の「社会的寿命」は、都市計画や再開発で、マンションの建て替えが検討されるというケースだ。
これまでに建て替えられたケースをみると、上記のどれか1つが原因というわけではなく、複合的にからんでいる場合が多い。
多くは、建て替えることによる居住者のメリットが大きくなる場合に選択される。
例えば、埋設された排水管が物理的寿命を迎えていて、さらに建築基準法や都市計画がマンションが建築された当時から変更され、同じ土地により大きな建物が建てられるようになっている場合に建て替えが選択される。
もともとのマンションより大きな建物を建てて、その住居などを販売することで、既存の居住者の費用負担が軽減されるからだ。
逆に、建て替えすることによって、居住者に多額の費用負担と労力がかかってしまう場合は、選択されない。
例えば、高齢者が多いマンションだと、新たにローンを組む経済的負担はもちろん、一旦仮住まいに引っ越すことへの心理的負担も大きい。
そのため、建て替えに必要な票数が集まらないということがある。
2013年時点の情報ではあるが、国土交通省のデータによると、当時築30年を超えている物件は、97万戸。築45年超えは31万戸。築50年超えは、1万戸。
旧耐震基準に該当すると考えられる物件は、合計129万戸だった。
それにもかかわらず、その時点で建て替えが完了していたのは183件、戸数にして14,000戸だった。
割合にすると、当時の築30年超えのマンションの約1%だ。いかに建て替えのハードルが高いかわかるだろう。
これからマンションを購入するときは、築年数にかかわらず、基本的には建て替えが行われないものと考えるほうが良い。
驚きのコンクリートの進化
マンションの寿命を考えるときに、見過ごせないのが、コンクリートの進化だ。
同じ築50年といっても、現在築50年とこれから建てられるマンションの50年後のマンションの寿命は、同列に考えられない。
なぜなら、コンクリートの強度や質が、全く異なるからだ。
そもそもタワマンが建てられるようになったのも、コンクリートの進化によるもの。今では200年コンクリートどころか、500年コンクリートの開発がされている。
また、コンクリートを再生する技術も開発されているので、今建てられているマンションのコンクリートを再生することも可能になってくる。
将来的には、「物理的寿命」で建て替えということは、無くなるかもしれない。
では、これからのマンション選びに、この話をどう生かしたらよいのか。
今回、マンションの寿命は、鉄筋コンクリート自体の寿命ではないことがわかったと思う。
結局、日々の適切な管理や修繕工事がマンションの寿命に大きく関わってくる。
こちらについては、前回のマンションの管理についての回で説明した。
人間も、お金がなければ適切な治療を受けることができないように、マンションもお金がなければ、必要な工事を必要なときに実施できず、寿命は縮む。
今後、1番意識すべきなのは「経済的寿命」だと私は考えている。ゆえに、マンションを購入する際には、管理がしっかりしているマンションなのか、見極める必要がある。
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マンション購入前に、絶対に知っておくべき!耐震基準について
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