年を重ねることはネガティブに捉えられがち。でも、これまで多くの人の悩みに寄り添ってきた産婦人科医・高尾美穂先生は、「人生の積み重ねによってしか手に入れられないものがある」と言います。ここでは、自身が実感しているという、年齢を重ねることでよかったと思えることを4つ教えてもらいました。

年齢を重ねることのポジティブな面に注目すれば、ハッピーになれる

私たちは「若さ」がすてきなものだと考えることが多いですが、実際に自分が年齢を重ねてくると、「年齢を重ねること」によってしか手に入れられないよいことがあるのだと気づかされます。

●たいていのことはどうにかなると思えるようになった

年齢を重ねてよかったなと思えることの1つ目は、「たいていのことはどうにかなると思えるようになったこと」です。

友人から相談を受けた際に「だいたいのことはどうにかなるよ」と言うのが私の口ぐせのようになっていますが、この年になったからこそ思えることです。何か大きなトラブルが起きたときは、人生が終わってしまうのではないかというくらい悩むものだと思います。でも、たいていはどうにかなるんですよね。

もし意図せずトラブルを起こしてしまった場合は、もちろん心から謝ることが大切です。そして、どう乗り越えていくかを考える。その中で最後のゴールとして「たいていのことはどうにかなる」という考え方を念頭に置きながら、自分でできることをするのが大事だと思っています。

●不安なことがだんだん減ってきた

2つ目は、「不安なことがだんだん減ってきたこと」です。

たとえば、あまりお金の心配をしなくてもよくなりました。収入が減ったとしてもそれ相応に対応できますし、「ちょっとやそっとのことなら大丈夫」という気持ちがあります。

また、お金を使いたい部分には使い、使わなくていい部分には使わないという判断もできるようになっています。

●交渉力が身についてきた

3つ目は、「交渉力が身についてきたこと」です。

時間やフィー、条件などの交渉能力は、経験を重ねる中で身についてきます。相手から言われた条件を丸のみする必要はないということがだんだん身についてきましたが、おそらく若い頃は、この交渉能力はほぼないと思います。

自分がやりたいことを納得して続けていくためには、磨くことが望ましいスキルだと思っています。

●人間関係が整理されてきた

そして、「人間関係が整理されてきたこと」です。

40代、50代と生きてくると、周りには残るべき人だけが残ってきます。利害関係だけのつながりはいずれ消えてゆき、逆に、長く続いている友達との関係はたとえ半年連絡をとっていなくてもなにも変わらないものです。

若い頃は、「もの」と「人間関係」と「役割」を増やしていくことで、多くのものを得てきました。けれど、年齢を重ね、人生の曲がり角である更年期にさしかかったら、増やしていくのではなく、少しずつ手放していくのがよいのではないでしょうか。

世の中では「人生下り坂」と表現されたりもしますが、下り坂というとせっかく手に入れたものを失っていくというイメージですよね。そうではなく、意図的に減らして軽くしていく。人生を「軽く」生きていくというイメージです。これってすごくすてきなことだなと思っています。

悩んだとき、迷ったときは、高尾先生の言葉が効く! 心にかかったもやが晴れ、いつのまにか、ご機嫌な自分を取り戻しています。新刊本『人生たいていのことはどうにかなる あなたをご機嫌にする78の言葉』では、今回ご紹介したような言葉を78収録。いつもお守りのように手元に置いて、悩んだときや迷ったときに開いてみてください。きっと目の前がぱっと開けてくるはずです。