逮捕された村上浩容疑者(2020年7月10日のNHK放送より)

 職員の引き起こした不祥事が頻発しているNHK。視聴者の厳しい視線が注がれるなか、またもや新たな事件が……。8月6日午後2時15分頃、福島県いわき市で、NHK記者が酒を飲んで車を運転した酒気帯び運転(道交法違反)の疑いで、現行犯逮捕されたことが報じられた。

 逮捕されたのは、NHK福島放送局勤務の村上浩容疑者(58)。報道によると、容疑者は県道で車線をはみ出して対向車と衝突事故を起こし、自ら110番。通報で駆けつけた警察官がアルコール検査したところ、基準値の2倍もの数値を確認したという。

 この日は休みだった村上容疑者は、調べに対し、「海水浴の際に酒を飲み、帰宅中だった」と容疑を認めているという。職員の逮捕について、NHK福島放送局は「職員が逮捕されたことは遺憾です。事実関係を確認し厳正に対処します」と、コメントを出している。

「今回の逮捕報道に際し、局のリスクマネジメント室からは危機意識も露わに、コンプライアンス対策を徹底するよう通達がありました。

 通達には《たった一人の軽率で無責任な行動によって、多くの職員が真に業務と向き合い、築きあげてきた視聴者からの信頼は大きく損なわれます》などと、テイのいいことが書いてありましたが、村上のような “問題職員” を野放しにしてきたのは、完全に局の隠蔽体質にほかなりません。組織的な問題なんですよ」

 こう憤るのは、村上容疑者を知る元NHK職員だ。彼の素性を聞くと、以前からの “問題職員” ぶりがうかがえるエピソードが、次々と出てきた。

飲酒運転で逮捕された村上とは、かつてある支局で一緒の時期がありました。ふだんは悪い人ではなく、いい原稿を書く社会部にピッタリの逸材なんですが、いかんせん酒癖が悪く……。

 平日休日にかかわらず、ベロンベロンに酔っぱらっては電話をかけてきて、くだを巻いていました。酒癖の悪さで “超有名人” だったので、今回の逮捕も驚きはなく、『またやったのか』という感想です。

 彼は青森県出身で、早稲田大学を卒業して1992年に入局。初任地だった神戸時代の1995年、酒を飲んでタクシーの運転手を暴行し、逮捕されているんです。

 普通であれば懲戒免職のはずですが、なぜか生き残りました。その後は大津、青森など地方を転々としています。だから、東京で勤務したことは一度もなし。今回の事件は、こうした人物を組織に残しておいたNHKの責任だと思います」

 この職員は「もっと早く処罰していれば……」と残念がる。

 別のNHK職員は、村上容疑者の仕事への姿勢に疑問を抱いていた。

「取材手法についても悪い噂がありました。避難生活をされている方に、飲みの席で心の傷をえぐる暴言のような発言をして、目に涙を浮かべているところを撮影したそうです。“撮れ高” を稼ぐためにやったのだとしたら、許せません。

 本人もお酒の問題は自覚していて、私が震災取材の応援で岩手で会ったとき、『お酒は飲まないようにしている』と話していたんですが、なかなか人は変わらないみたいですね……。

 村上さんと直接接点があって、迷惑をこうむった人を複数人知っていますが、局内だけでなく、取材先や他の新聞社とも酒のトラブルが多く、あきれてしまいます。組織として、こんな人が、永年跋扈してたことがおかしいと思います」

 村上容疑者の過去の逮捕歴をNHKに問い合わせると、「職員が逮捕されたことは遺憾です。今回の件以外の職員の個別のことについてはお答えしません。NHKでは、悪質な事案には厳正に対処しています」と回答が返ってきた。

 公共放送を支える者の “品格” が、問われている。