(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売すぐに3万部のベストセラーとなっています。第75回は、東大生がよく使う文房具と意外な使い方を紹介します。

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東大生はどんな文房具を使っているのか


東大生は、勉強する前に、どんな文房具を用意しているのでしょうか?

紙とペンは用意するとして、蛍光ペンやシャープペンシルなどはどんなものを使っているのでしょうか?

私たちは年間300人程度の東大生にアンケートやインタビューをしていますが、その中である程度、「東大生はこんな文房具を準備して、勉強している」というものが見えてきました。

夏休み真っ盛りで、受験生の人たちは勉強の真っ最中だと思いますが、そんな人にも参考になるような「文房具の使い方」を紹介したいと思います。

まずはドラゴン桜のワンシーンをご覧ください。とある文房具に対して、先生が怒りをぶつけるシーンです。

※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください





(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)



(漫画:©︎三田紀房/コルク)

ということで、蛍光ペンを使うと、「勉強をしている感」が出てしまうからよくない、という話でしたね。

実際、僕も元偏差値35だったのでわかるのですが、蛍光ペンを引くだけの勉強ってあんまり意味がないんですよね。

確かに線を引くことで「ここが重要」というポイントはわかりますが、結局それを覚えないと意味がないんです。漫画の中でも語られていたように、重要単語はノートに書き留めておくほうが脳に残りやすいのです。

しかし、蛍光ペンを使って勉強している東大生が少ないかというと、実はそんなことはありません。東大生は、蛍光ペンを普通とは全然違う用途で使っているのです。

使うのは、緑色の蛍光ペンです。これで、教科書や参考書の重要なポイントに線を引きます。これだけでは普通ですが、その後が特殊です。暗記などでよく使われる赤いシートを用意して、そのシートを当てるのです。

通常赤シートは、赤やオレンジで書いた文字が消せるというものですが、今回のような場合、文字の上に緑色で線を引いているので、赤シートを当てると文字が読めなくなります。これで、教科書や参考書が「重要なポイントの穴埋め問題」に早変わりするのです。

これであれば、問題を解いていくと同時にその単語を覚えることができるようになっていくというわけですね。

先ほどのように蛍光ペンでただ線を引く勉強法は、重要なポイントを引くだけで終わってしまうのがよくないポイントでした。

それを、緑色の蛍光ペンを使うことで「重要なポイントが答えの穴埋め問題が出題されたら答えられるかどうか」を確認する勉強ができるようになります。

ボールペンで勉強をする東大生が多い理由

また、意外なことに「シャープペンシルや鉛筆よりも、ボールペンで勉強するほうがいい」という東大生も多かったです。

その理由は2つあって、1つは「消しゴムを使ってしまうと、どこで自分が間違ったのかわからなくなってしまうから」。数学の計算ミスでも、社会の単語をメモするときでも、そのミスはきっとテストでも同じように、ミスをしてしまいがちなポイントなはずです。

消さないでおいたミスをあとから見直すと、「自分、毎回+と-で間違えるんだな」「文永の役を、『文英の役』って書いて間違えることが多いんだな」と、同じ場所でミスしにくくなるわけですね。

また、もう1つの理由は、文字を書くときに「消しゴムで消せない」という意識を持ってノートを取るので、シャープペンシルや鉛筆よりも集中して文字を書くことができるから、だそうです。確かに、消すことができないという意識でノートを取ると、集中力が上がりそうですね。

さて、いろいろお話ししてきましたが、僕は「本当に勉強できているのか」、それとも「『勉強している感』に酔っているだけなのか」というのは、「その後で、問題が解けるかどうか」で判断するべきだと思っています。

勉強した後で、しっかりそこの範囲の問題が解けるようになったのであれば勉強の意味があったと言っていいと思いますし、逆にその範囲について聞かれても何も答えられないのであれば、何時間勉強していたのだとしても、「勉強した」というよりは「ただ苦労した」というだけになってしまいます。

「その後で問題が解けるように」勉強するために、しっかりと使用する文房具に気をつかってみてはいかがでしょうか?

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)