2023年上半期「売れた商品ランキング」関東版

写真拡大 (全4枚)


(写真:takeuchi masato/PIXTA)

2023年上半期『売れた商品ランキング』全国版」に続き、今回は関東版の「売り上げが伸びた商品・落ちた商品」のランキングを紹介する。全国のスーパー、コンビニ、ドラッグストアなど、約6000店舗の販売動向を追っている「インテージSRI+」のデータを基に作成した。

ここでは東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬に山梨を加えた8都県を「関東」としている。販売金額を前年比で見たランキングで、コロナ前と比較するため2019年比も掲載。全国との違いを確認するため、「全国差」として関東版の値から全国版の値を差し引いた値も出している。

「売り上げが伸びた商品」関東版の顔ぶれ

売り上げが伸びた商品ランキング1位の検査薬は、前年比・2019年比ともに全国よりも大きく伸長。前年比では全国よりも48.0ポイントも差が見られた。関東の中でも、北関東と山梨で年始に顕著に伸びたためだ。これは、2022年末から2023年の初めにかけて、北関東の一部と山梨でコロナの感染拡大による医療逼迫の宣言が出され、抗原検査キットで感染有無を確認する需要が高まったためと推察される。

3位の口紅も、前年比・2019年比ともに全国よりも10ポイント以上大きく伸長した。コロナ前の2019年比で91.4%と9割を超えるまで回復している。とりわけ大きく伸びたのは京浜だ。人口の多い都市部で、外出して人に会う機会が増える中、身だしなみやおしゃれにお金をかける人が増えているのだろうか。10位の日焼け止めでも同様の傾向があった。

続いて、販売金額が落ちたものランキングを確認しよう。2019年との比較で全国との差が顕著に出たのが8位の玩具メーカー菓子。大ヒットしたテレビアニメのおまけ付き商品のブームをきっかけとして、市場が急成長した。コロナ禍の外出自粛により家でテレビアニメなどのコンテンツを見る機会が増え、関連商品の人気が高まっていた。

東京都や神奈川県などでテレビアニメと関連したイベントが頻繁に開催されており、関連商品を取り扱う店舗が多いことから、玩具メーカー菓子への関心も底堅く推移したものと考えられる。

3位の麦芽飲料も、2019年比で200.7%と2倍を超える規模を維持。麦芽飲料の人気は、2020年に鉄分豊富で貧血予防の効果があるとSNSで話題となったことがきっかけとされる。女性や高齢者で貧血予防のために購入する動きが広がり、情報感度の高さからか関東で2020年にとりわけ大きく伸長した結果、依然として他の地域よりも高い水準を維持しているようだ。

成長の勢いが他の地域よりも弱かったオートミール

一方、全国よりも2019年比が抑えられているのが、10位のオートミール。2019年比で931.7%と大きな伸びを示しているものの、全国と比べて210.9ポイントも小さい。

オートミールは、コロナ禍に健康やダイエットによいと注目され急速に成長した食品だ。急成長前の2019年上半期の段階では、関東で金額シェアが50%以上を占めており、関東を中心とする市場だった。人気が高まるにつれ、他の地域でも販売が広がり、2023年上半期には関東の金額シェアは40%程度にまで減少している。元々の市場が大きかった分、成長の勢いが他の地域よりも弱かったと見て取れる。



(木地 利光 : 市場アナリスト)