厳選!2歳馬情報局(2023年版)
第8回:エヴァンスウィート

 国内屈指の繁殖牝馬が今年も楽しみな若駒を送り出す。栗東トレセンの友道康夫厩舎に所属するエヴァンスウィート(牝2歳/父スワーヴリチャード)である。

 優秀な繁殖牝馬である同馬の母は、ハルーワスウィート。これまでに多くのGIウイナーを生み出してきた。


エヴァンスウィートの姉には、ヴィクトリアマイルで連覇を達成したヴィルシーナがいる

 まずは2009年生まれのヴィルシーナ(牝/父ディープインパクト)。3歳時の牝馬三冠レースこそ、宿敵ジェンティルドンナに屈してすべて2着に終わったが、古馬になってからGIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)で連覇を果たした。

 2012年生まれのシュヴァルグラン(牡/父ハーツクライ)は、3歳秋からメキメキと力をつけて古馬になってから重賞戦線で活躍。GIレースでも何度となく馬券圏内(3着以内)に入る好走を繰り返して、5歳秋のGIジャパンカップ(東京・芝2400m)でついに戴冠を遂げた。以降も、GI有馬記念(中山・芝2500m)やGI天皇賞・春(京都・芝3200m)、海外GIのドバイシーマクラシック(UAE・芝2410m)などで、上位争いを演じている。

 そして、2013年生まれのヴィブロス(牝/父ディープインパクト)は3歳秋にGI秋華賞(京都・芝2000m)を制覇。翌年の春には、海外GIのドバイターフ(UAE・芝1800m)で勝利を飾って、その名を世界に轟かせた。

 これら輝かしい結果を残してきた兄姉を持つエヴァンスウィート。注目度が高くなるのは当然と言えるが、実際のところ、管理する厩舎スタッフの評価はどれほどのものだろうか。関西競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「エヴァンスウィートについて友道調教師に話を聞くと、『奥手のタイプが多い一族だが、この馬に関しては小柄で早い時期から動けそうな雰囲気』とのこと。『ここまでの稽古の動きもよく、スピードとパワーを兼ね備えている』と、血統に違わない高評価の口ぶりでした」

 さらに距離適性については、こんな話が聞かれるようだ。トラックマンが続ける。

「距離面についても訊ねてみると、『ある程度長いところも対応できそうなイメージ』と友道調教師。『デビュー戦はマイルの予定だが、一番の適性はそれよりも長い距離になるのではないか』という見立てです。調教に乗っているスタッフも『乗り味がいい』と絶賛しており、初戦から楽しみです」

 デビュー戦は7月22日の2歳新馬(中京・芝1600m)。鞍上は坂井瑠星騎手が務める予定だ。

 GI馬となった兄や姉に続いて、エヴァンスウィートも大舞台で輝くことができるのか。初陣での走りに注目したい。