ヒロド歩美さん
インタビュー後編
前編を読む>>「選手を邪魔している。この時間は当たり前じゃない」 フリーアナウンサーとして3カ月 スポーツ取材で心がけていること

今年4月に『報道ステーション』(テレビ朝日・月〜金曜21:54〜)のスポーツキャスターに就任したヒロド歩美さん。就任して3カ月が経った今、スポーツを仕事とする楽しみを聞いてみた。また、今年も『熱闘甲子園』のキャスターを務めることが決定。取材を続けて10年目となる高校野球への思いも語ってもらった。

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今年も『熱闘甲子園』のキャスターに就任したヒロド歩美さん

――ヒロド歩美さんと言えば『熱闘甲子園』ですが、今年もキャスターに抜擢されました。2014年から高校野球の取材に携わり、16年から『熱闘甲子園』のキャスターを務めているんですよね。

ヒロド歩美(以下、ヒロド) はい。高校野球を取材して10年目の節目で、引き続き『熱闘甲子園』に携わることができて、本当にうれしく思っています。

――長年、高校野球と携わってきて感じる魅力や面白さとは何ですか。

ヒロド たとえば夏の大会で言うと、負けたチームのナインは、試合後に悔し涙を流しますよね。ですが、そのあとに宿舎取材に行くと、みんなすごく笑顔だったりするんです。

――ああ、たしかに激闘を終えて、ほっこりする場面がありますね。

ヒロド たぶん視聴者の方もそこを求めているような気がするんです。涙のままで終わってほしくないって。

――なるほど、そうかもしれません。

ヒロド 最後、笑顔になることをきちんと伝えたい。私自身、2018年から宿舎取材に集中して行くようになったんですが、より選手たちの感情が浮き彫りになる取材ができるようになったんです。おそらく試合では感情を抑えて挑んでいる部分もあると思うので、甲子園球場では見られない部分を知れるというのは、いいことだなって思っています。

――選手たち以外で、宿舎取材でなにか面白い発見はありましたか?

ヒロド じつはネタの宝庫なんですよ(笑)。たとえば金足農業高校(秋田県)の宿舎に行くとロビーに「あきたこまち」が積んであったり、そういった細かい情報なんですけど、結構たくさんあって、すぐ番組関係者にLINEをしていました。

――では、これまで接してきた選手はたくさんいると思いますが、とくに思い出深い選手はいらっしゃいますか。

ヒロド たくさんいるので困りますね(笑)。うーん、最近で言うと、現東京ヤクルトスワローズの奥川恭伸選手ですかね。

――石川県の星稜高校のエースでしたね。

ヒロド 高校2年生の時から取材をしてきたのですが、奥川選手は、いろいろな涙を持っているんです。たとえば2年生の夏は、登板した際に足がつってしまい、奥川選手だけの責任ではないのですが3年生の夏を終わらせてしまって号泣している姿とか、その翌年の夏、3年生になってプレッシャーがかかるなか、石川県予選を勝ち抜くことができてまた号泣するんですけど、安堵感の漂う涙でした。そして甲子園準優勝で見せた涙......。その後もドラフト会議の時に一日密着させてもらったり、プロとなり最初のキャンプを取材したり、思い入れという部分ではかなりある選手ですね。あと、自分の登場曲に『熱闘甲子園』のテーマ曲である『宿命』(Official髭男dism)を使ってくれているのもうれしいですね。

――これが取材を継続していくことの大切さですね。では高校野球取材の時の必需品は何かありますか。

ヒロド じつは私が趣味で作っている"高校野球本"というものがあって、それが現場に行く時の必需品ですね。

――"高校野球本"と言うと?

ヒロド 主に夏の大会なんですけど、「あなたにとって甲子園とは?」という問いかけに対し、選手たちに思うことを書いてもらっている本なんです。甲子園に出場した選手も、出場が叶わなかった選手にも、それを大会後に書いてもらっていて、もう100人以上になりましたね。


ヒロドさんの高校野球取材時の必需品『高校野球本』(写真提供:ご本人)

――それは貴重ですね。

ヒロド はい。だからスタッフの方にはどんな貴重品よりも貴重なので絶対になくさないでくださいって言っています(笑)。すでに卒業されてはいたのですが、松井秀喜さんや松坂大輔さんにも書いてもらいましたし、甲子園に出場できなかった古田敦也さんにも書いてもらいました。いくつになっても球児にとって甲子園というのは非常に大きいものだと思うので。

――お宝ですね。では今年の夏も、その本のページが増えていくわけですね。

ヒロド はい。どんな大会になるのか、今から楽しみです。

――ヒロドさんは現在フリーということで、今後スポーツ以外の分野で何かトライしてみたいことはあるんですか。たとえばバラエティー番組だとか。

ヒロド 今は充実しているのもあって、これから探そうかなって感じなんです(笑)。ただ数年前からアナウンサーという職種ではなく、全然違うビジネスをやってみたいなとは漠然と考えているんです。

――それは何でしょうか?

ヒロド 学生の支援です。よく就職活動でOB訪問やOG訪問ってありますけど、私も学生たちと会って話しているうちに、頑張ってほしいなと思うようになったんです。悩みを抱えている学生たちは多いだろうし、人と人をつないだり、サポートすることができたらいいなって。まったく具体化はしていないんですけど、いずれトライできたらなと思っています。

――将来どのような道を歩み、生きていくかを模索している高校球児を目の当たりにしてきたから思うことなのかもしれませんね。

ヒロド はい、それはあると思いますね。

――さて、今後は『報道ステーション』に軸足を置きつつ活動をしていくと思いますが、フリー1年目をどのように駆け抜けていきたいと考えていますか。

ヒロド とにかく体力が続くかぎり全力疾走したいと思います(笑)。『報道ステーション』では、野球選手をはじめ、ラグビーの選手やフィギュアスケートの選手など、いろんなスポーツに接していきたいと考えていますし、そうすることで視聴者の方が「この選手を応援したい」と思ってもらえるようにお伝えしていきたいです。たくさん勉強して、それが企画や映像となり、番組内で多く紹介できるように、頑張っていきます!

Profile
ヒロド歩美(ひろど・あゆみ)
1991年10月25日生まれ。兵庫県宝塚市出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、2014年に朝日放送テレビ(ABCテレビ)入社。2016年に『熱闘甲子園』のキャスターに就任した。その後は『サンデーLIVE!!』『芸能界常識チェック!〜トリニクって何の肉!?〜』『芸能人格付けチェック』などに出演。今年2月に退社し、4月からフリーの立場で『報道ステーション』のスポーツキャスターを務めている。