「低温やけど」にご注意!

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 春の訪れを感じるこの頃。日中は暖かい日も増えてきていますが、朝晩はまだ冷え込み、電気毛布や電気カーペット、カイロなどを使う人も多いのではないでしょうか。

 こうした時に注意しなければならないのが「低温やけど」です。火などで負ったやけどの場合、患部を冷やしたり医療機関で治療したりしますが、低温やけどの場合、「大したことはない」と軽く見られがちです。低温やけどの危険性について、形成外科医の室孝明さんに聞きました。

低温やけどは危険

 低温やけどとは、44〜50度程度の温度のものに、体が長時間接触することで起きるやけどです。

 室さんによると「短時間の接触では通常、やけどを起こすことがない温度ですが、例えば、湯たんぽやカイロ、こたつ、ホットカーペットの長時間の使用で起きることがある」ということです。

 初期症状について「程度によってさまざまで『やけどをした部分の皮膚が赤くなる』『痛みを感じる』『水疱(すいほう)ができる』など、一般的にイメージするやけどの症状が起きることもあれば、皮膚の表面の質感が白っぽく変化するだけで、痛みがほとんどないものまであります」と説明してくれました。

 続けて、「低温やけどは、あまり痛みがないことが多いのが特徴ですが、侮れません。皮膚の深いところまでダメージを受ける可能性があるからです」と注意喚起も。

「そもそも、やけどの程度は、軽症の1度から重症の3度まで分類されます。低温やけどは、じっくりと皮膚の深いところまで、熱による損傷が起こっている場合がほとんどであり、深いやけどの2度や、重症の3度に分類されることが多くなります」と話しています。

 そして「表皮(皮膚の表面)の下の層である皮下組織に達するほどの熱損傷が起こった場合、時間がたつにつれて、やけどをした部位が黒色や茶褐色などに変色してきます。細菌感染を起こす場合もあります。治るまでにはかなり時間がかかり、手術が必要となることもあります」と語り、「そのため、火などで負った通常のやけどよりも、低温やけどの方が深刻である」ということです。

 低温やけどをしやすい体の部位はあるのでしょうか…。室さんは「皮膚が薄いところや骨に近いところは比較的、低温やけどになりやすい」と話し、「一般的には、すねや足首、くるぶし、かかとなどの足に低温やけどを負う人が多い印象がありますが、基本的には体のどの部分でも起こり得ます」と言います。

 室さんは、低温やけどになった場合、家庭での処置方法として、「流水で患部を30分ほど冷却し、清潔なガーゼなどで覆います。患部が衣類で覆われている場合は、衣類の上から流水をかけ、衣類は脱がずにおきます。冷却後、速やかに医療機関を受診してください」と説明。

「低温やけどは痛みが少なく、軽く見られがちで、症状がひどくなってから来院する患者が多いことが特徴です。少し赤くなったり、少し痛みがあったりする程度であっても、無症状でなければ病院に行くべきです」と、受診を勧めています。

 軽く見られがちな低温やけど。少しでも症状を感じたら、病院へ行きましょう。