ダチョウ倶楽部・肥後克広 上島竜兵さんに送る感謝と後悔「もういないんだな」【2022年に逝った英雄】
一国を率いた大人物、単調な毎日に笑いを提供してくれた才人、違う世界を見せてくれた名優、夢を与えてくれたスポーツ選手。今年も、私たちを置いて先に逝ってしまった人ーー。彼らをよく知る人物からの“挽歌”を取材。
◎「もういないんだな」って寂しさがこみ上げます(ダチョウ倶楽部リーダー 肥後克広さん)
コントをしているときは芸人のスイッチが入っているので大丈夫なんですけど、楽屋にいるときなど「もういないんだな」って寂しさがこみ上げてきます。
上島さんには「ダチョウ倶楽部をここまで連れてきてくれてありがとう」の感謝と「近くにいたのに、どうして気づいてあげられなかったんだろう。申し訳ない」の後悔、それと「あんな人生の終わらせ方をしやがって」というバカ野郎の気持ちです。
「ダチョウ倶楽部は70歳、80歳になればもっとおもしろくなる」と言ってた本人が最後にヘタをしちゃって。
熱湯風呂も「やってはいけない空気になるんじゃないか」と心配したんですけど、番組で松本人志さんが落ちてくださり、若手芸人も続いて、それを見た皆さんが笑ってくださった。「よかった」と思いました。あの芸はもともと、いろいろな方が落ちるものだったので、本来の形に戻ったということです。
上島さんは自分がいなくなったことも笑いにして、ファンもそれを受け入れてくれている。すごい芸人です。
■俳優 古谷一行さん(8月23日没 享年78)
◎ロケで日本中の温泉につかっていた日々(俳優 木の実ナナさん)
淋しくてたまんないよ。一行さんが逝ってしまうなんて。一行さんとは1979年から2006年までずーっと毎年2回、ドラマ『混浴露天風呂連続殺人』シリーズのロケで日本中の温泉につかっていましたね。その撮影と並行して『オレゴンから愛』の長期海外ロケもあり、一年のほとんどの時間を一行さんと一緒だった時期がありました。楽しかったなー。
私は、毎年暮れから春まではミュージカル公演のため、外食はせずにストイックな日々を送っていましたが、一行さんが観に来てくれる日だけは特別。2人きりのレストランで食事をし、心安まる時間を作ってくれました。番組終了後も家族のように気にしてくれて、たくさんの優しい愛情と笑顔をありがとうございました。
■俳優 渡辺 徹さん(11月28日没 享年61)
◎友達を失うのはこんなにも悲しい気持ちになるのかと(タレント 山田邦子さん)
人生の半分は徹と一緒だったといってもいいほどの長いつき合いなので本当にショックです。
初めて番組で一緒になったのは1986年、バラエティ番組の『いきなり!フライデーナイト』。そのころの徹はしゃべりもヘタで、そのことでいつも喧嘩をしました。
だけど、どんどんトークが上手になって、私の結婚式の司会をするまでになったんです。すごい成長ですよね。
いい俳優でした。どんなに映画やテレビドラマで忙しくても舞台を大切にして、舞台が決まると嬉しそうに話していました。これから年を重ねて、おじいさんの役などを演じている徹を見たかったなあ。
友達を失うのって、こんなにも悲しい気持ちになるんですね。とても、きついです。
■ザ・ドリフターズ 仲本工事さん(10月19日没 享年81)
◎事故の前日の電話で「ずっと応援しているからね」(元フィギュアスケーター 渡部絵美さん)
仲本さんとは10年前くらいからのおつき合い。共演がきっかけではなく、普通のご近所づき合いでした。私の家の近くに仲本さんの経営する焼き鳥屋さんがあって、よくお邪魔してたんです。家で飼っているトイプードルのジャックも、仲本さんから譲り受けた犬なんで、姿を見せに行ったりしてました。
仲本さんが事故にあう3日前にも「自宅を改装する間、犬2匹、猫1匹を預かってほしい」と相談されていたんです。事故の前日には電話をいただき、なぜかそのときに「絵美ちんゃん、ずっと応援しているからね」と声をかけていただきました。
本当に国民的な人気者で大御所なのに、いつもニコニコされていて、素敵な方。仲本さんは笑顔の印象しかありません。