イーロン・マスクがTwitterでアカBANされていた人々を復活させると発表、嫌がらせや差別などで追放された悪質なユーザーが帰ってくると危惧する声も
Twitterを買収したイーロン・マスク氏は、永久凍結されたはずのドナルド・トランプ前大統領のTwitterアカウントを復活させるか否かのアンケートを実施し、長らくTwitterから追放されていたトランプ氏のアカウントを復活させました。その後、マスク氏は著名人以外の凍結されたTwitterアカウントについても恩赦を与えるべきかのアンケートを実施し、「悪質なスパム行為や法律違反を犯したアカウントを除き」凍結を解除すると発表しています。
https://www.theverge.com/2022/11/24/23476655/elon-musk-general-amnesty-mass-unban-twitter
Musk will restore Twitter accounts banned for harassment, misinformation - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2022/11/24/twitter-musk-reverses-suspensions/
マスク氏は2022年11月24日に「Twitterは法に違反したり悪質なスパム行為を関与していない限り、一時凍結されたアカウントに対して恩赦を提供すべきでしょうか?」というアンケートを実施。アンケートには316万票が集まり、「賛成」が72.4%、「反対」が27.6%という結果になりました。
Should Twitter offer a general amnesty to suspended accounts, provided that they have not broken the law or engaged in egregious spam?— Elon Musk (@elonmusk) November 23, 2022
その後、11月25日になってマスク氏は「来週から恩赦が始まります」とツイートし、アンケート結果を受けて凍結されていたTwitterアカウントの凍結を解除すると発表しています。
The people have spoken.
Amnesty begins next week.
Vox Populi, Vox Dei.— Elon Musk (@elonmusk) November 24, 2022
海外メディアのThe Vergeは「これはTwitterが長年かけて行ってきたモデレーション作業を覆し、事実上なかったことにする最悪の決断です」「Twitterは何年にもわたり、モデレーションを通じて苦労しながら悪質なユーザーをプラットフォーム上から排除してきました。プラットフォームから排除されてきたのは、恐ろしい虐待行為や嫌がらせを行ったり、誤報を拡散したりするアカウントです」と述べ、マスク氏による一方的な決定を批判しています。
さらに、「マスク氏のアンケートには300万票以上が集まっていますが、マスク氏が長らくTwitterの買収を思いとどまっていた理由でもある、Twitter上には多くのボットや偽アカウントが存在するという事実を忘れてはいけません」と述べ、ボットや偽アカウントを使ってアンケート結果がねじ曲げられた可能性も示唆しています。
Twitter上でも、PreSeed Nowのマーティン・ブライアント氏は「これは大規模なプラットフォーム破壊行為である可能性があります」「Twitter上でのアンケート結果をこのように使うのは狂気の沙汰です。マスク氏もバカではないので、アンケート結果がこのようなものになることは理解していたはずです。これは意図的なものです」とツイートし、マスク氏は結果がこうなるとわかっていながらアンケートを実施したと指摘。
Just the insanity of taking a Twitter poll as validation... Musk isn't a moron. He knew his poll would go this way. This is deliberate. Imagine the mayor fills your town square with actual shit. This is exactly that. For zero good reason unless you have billionaire brainworms.— Martin SFP Bryant (@MartinSFP) November 24, 2022
The Washington Postのコラムニストであるテイラー・ローレンツ氏は、「マスク氏による過去に凍結されたほぼすべてのTwitterアカウントを復活させるという決定は、特に脆弱なコミュニティにとって危険な結果をもたらすことになるでしょう」と指摘。ローレンツ氏は他にも、「Twitter上で行うアンケートは結果を簡単に操作できるため、民主的とは言えない」「最も暴力的で攻撃的なストーカーや、LGBTQに対して憎悪を向ける人、女性差別を行う人、醜聞をまき散らす人たちが、両手を広げてTwitterに歓迎されていることに恐怖を感じます」とツイートし、Twitterに悪質なユーザーが帰ってくることを危惧しています。
Elon Musk plans to reinstate nearly all previously banned Twitter accounts - to the alarm of activists and online trust and safety experts. The decision will have dangerous consequences, particularly for vulnerable communities https://t.co/FzbfpBu8j1— SUBSCRIBE TO MY SUBSTACK (@TaylorLorenz) November 24, 2022
さらに、ブロガーのトム・コーツ氏も「マスク氏はヘイトスピーチや罵倒、嫌がらせ、選挙妨害などで凍結されたアカウントを全て凍結解除する予定です」とツイート。
He’s unsuspending every account that was removed for hate speech, abuse, harassment, election denial, stuff that could yet you killed. https://t.co/IHn5Gqe77l— Tom Coates (@tomcoates) November 24, 2022
ハーバード・ロー・スクールでサイバー法に関する講師を務めるアレハンドロ・カラバロ氏は、「AppleとGoogleはTwitterをアプリストアから追放することを真剣に検討し始めるべきです」「マスク氏がやっていることは、様々な社会から疎外されたコミュニティにとって実存的に危険なことです。それが引き起こす大混乱という点では、地獄の門を開けるようなものです。直接的に標的を定めた嫌がらせをした人々が戻ってきて、ドキシングや標的を定めた嫌がらせ、悪質ないじめ、暴力の称賛が許されるようになります。これがどれほど危険なことか、言葉では言い表せないほどです」とThe Washington Postに語っています。