京王相模原線の終点、橋本駅の移設を相模原市が検討しています。リニア中央新幹線の駅開業にともなう街づくりの一環ですが、京王線と並行するJRの駅はそのままです。

リニアの駅がちょっと離れた場所にできる「橋本」

 建設が進むリニア中央新幹線の“神奈川県駅”ができるのが、相模原市の橋本駅です。JR横浜線・相模線が交わり、京王相模原線の終点でもあるジャンクションですが、リニアの開業を見据え、地元の相模原市は京王線の駅の移設を検討しています。


橋本駅に入る京王の電車。地上のJR線を乗り越してカーブ、JR線と並行する形で高架駅が設けられている(画像:写真AC)。

 リニアの駅は、JRと京王の駅から南へ200〜250mほどのところに設けられます。まりづくり計画の図面を見ると、京王線がJR線を乗り越してからJR線にピタリと並行している線形を、リニアの駅寄りに移設するとのこと。これによりJRの駅と分離されます。

 とはいえ、JRの駅はそのまま。したがって、在来線の駅とリニアの駅を近づけることが本義ではないようです。

 相模原市のリニア周辺まちづくり課によると、これには各線の改札の位置が関係しているそう。

「JR橋本駅からリニアの駅にかけては、市の広域交流拠点整備計画に基づきまちづくりを進めています。JR駅の北口からリニアの駅にかけて1本の動線を通すなかで、京王線の改札だけが離れてしまうのです」(同課)

 JR駅とリニア駅の乗り換え動線は、まちづくりにおける「交流・賑わい軸」に位置付けられる一方、JRの駅と並行しつつも北西にズレた場所にある京王の駅は、その軸から外れ「まちづくりとしての賑わいが分散する」とされていました。ただし、線路の分岐器の位置関係から、新宿方への移設、つまりJRの駅の真横へ京王の駅を並べることは困難なのだそう。

 そのため、2016(平成28)年に策定された広域交流拠点整備計画の段階で、橋本駅前に形成される「複合都市機能ゾーン」と「広域交流ゾーン」との間への移設することが考えられる、と記されています。

 相模原市は今後、2022年中に都市計画説明会などを行い、2023年3月の都市計画決定、4月からの事業認可手続き着手を目指しています。とはいえ、この都市計画は駅周辺道路などのものであり、京王の駅舎移転については、「現時点で決まったことは何もない」(相模原市リニア周辺まちづくり課)とのこと。しかしながら、市は京王の駅舎移転を前提にまちづくり計画を進めています。