週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。 著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返…

週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。

著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本欄では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。

長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第21回は「うなぎ」です。

そもそもなぜ土用丑の日に「うなぎ」?

「土用丑(うし)の日 ウナギを食べよう!」――パワー漲るうたい文句とともに、スーパーの店頭にウナギが多く並び、食欲をそそりますね。

土用とは、二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬直前18日間を指します。特に梅雨明けと大暑(最も暑くなる頃)が重なる夏の土用は重要視され、夏バテ防止に精のつく食べ物を好む風習がありました。

丑の日は、日にちを十二支に割り当てた丑の日を指します。一般的に「土用の丑の日」は夏の土用に入る丑の日にあたり、2022年は7月23日(土)と8月4日(木)の2回あります。

なぜ、この時期にうなぎを食べるようになったのでしょうか。

古くから、土用丑の日には「う」のつく食べ物を食べると良いとされる風習がありました。うどんや梅干し、また「う」はつかないものの、シジミも栄養価が高いと好まれてきました。

そのなかで、うなぎは滋養強壮に優れた食材として珍重されていました。動脈硬化や老化予防を期待できるビタミンA、疲労回復効果のあるビタミンB1、 美容効果、生活習慣病の予防などが期待できるビタミンB2 ほか、亜鉛やカルシウムなどのミネラル類も豊富に含まれています。

平賀源内の名キャッチコピーが窮地を救う!?

ただ、そうは言うものの、もともと天然うなぎの旬は秋から冬にかけて、夏場は売れ行きがサッパリだっだとか。

そこで江戸時代、夏の土用にうなぎが売れず扱い困ったある魚屋の店主が、知人の蘭学者で発明家の平賀源内に相談したところ、「土用丑の日、ウナギの日 食すれば夏負けすることなし」とのキャッチコピーを提案。これが見事にハマり店は大繁盛。他の店も続々のぼりを立て、その後、土用丑の日にウナギを食する文化にまでなった――そんな言い伝えが由来になっています。

クッキングパパの蒲焼レシピは“生うなぎ”が決め手!

せっかくのうなぎを安く、美味しく食べるなら荒岩流レシピで「もうひと手間」(『COOK.44 スタミナ1000パーセント ウナギのかば焼き』)より)

ちょっと奮発して、スーパーや魚屋さんでウナギを買ってきたら、クッキングパパ「COOK.44 スタミナ1000パーセント ウナギのかば焼き」を参考に、ひと手間かけて美味しくいただきましょう。購入の際は生うなぎなら、タレ付きのものより安く買えるのでおススメです。

まずは、下ごしらえから。うなぎの皮の側に付着しているぬめりを熱湯でさっと洗い流しましょう。さらに包丁などできれいに取り除くことで、余分な脂肪を落とし、臭みを取って焦げ付きを防いでくれます。水気はキッチンペーパーでしっかり拭き取りましょう。

焼く時は、鉄板か石綿がついた魚網で皮側から焦げ目のつく程度に。老舗のように炭火で焼き上げたいなら、バーベキューコンロを使う手もあります。ただし、あくまで下焼きなので、焼き過ぎないようにしましょう。

さらに荒岩流ウナギのかば焼きは、焼いたウナギを自家製タレで煮るのです。

一般的なタレをつけて焼く方法よりも、身はふっくらコクがあって全体に味が染みわたり、香ばしさが口いっぱいに広がって…あぁ、幸せ!

コロナ、燃料費高騰、円安……中国産うなぎも価格上昇

今回作中では、なんと息子のまこと君が荒岩パパに手伝ってもらい、悪戦苦闘しながらウナギを釣り上げるという快挙を成し遂げています。自分で釣ったウナギをさばいて食べるとは、何ともうらやましい限り。

(※各県によって、10月〜翌年3月までニホンウナギの採捕禁止または自粛など制限があります)

年々高騰している国産ウナギですが、養殖に欠かせない白いダイヤと呼ばれるシラスウナギの不漁が、価格を跳ね上げている原因です。親ウナギやシラスウナギの過剰な漁獲および生育環境の悪化によるものだと、水産庁では指摘しています。

一方、比較的手ごろな価格が売りの中国産うなぎですが、新型コロナウイルスの影響で物流が滞ったうえに追い打ちをかけて燃料費の高騰、さらに円安の影響で日本へ輸出するコストがかかることから、最近では中国国内で消費されるシフトに変わってきているようです。したがって、日本への輸出量は減少し、価格は上昇傾向にあります。

ダブルパンチでますます高嶺の花のうなぎですが、たまのご褒美に!? 夏バテ防止だけでなく、旬の冬にもいただいて免疫力&スタミナアップに努めたいですね。

文/中島幸恵、漫画/うえやまとち

◆『クッキングパパ』とは?

福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。

週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年4月現在、単行本は161巻。

※「おとなの週末Web」の記事では本稿紹介の漫画、クッキングパパ 「COOK.44 スタミナ1000パーセント ウナギのかば焼き」を一話丸ごと読むことができます。

クッキングパパ(161)