《安倍晋三元首相銃撃事件》2発の銃声、血を流して倒れる姿、NHKの“暴力的”で一方的な報道姿勢
安倍晋三元首相が襲撃された。NHKや民放は、すぐさま報道態勢をしいたが、たがが外れたように暴走気味だ。
【写真】学生時代の安倍晋三氏、凛々しい総理大臣時代、昭恵夫人と
多くの人がスマホやケータイで動画を撮る時代。テレビ局の動画投稿サービスにも多くの動画が投げ込まれる。
以前、地方の放送局員に、元首相や大物大臣が来県すればテレビカメラは出すが、複数台出すことはない、「1台のカメラが撮れるのは一場面ですから、一般の方が撮った動画が貴重になる」という話を聞いたことがある。
NHKの一方的で“暴力的”な映像
テレビ局は、一般人が撮影した動画を争奪する。その結果、決定的な動画が撮れるのだが……。
「ニュースを見ていたら、モザイクなどの加工はしてあれど安倍さんが血を流している横たわっている映像まで流れてきた。NHKの、しかも昼時のニュースですよ。銃で撃たれた人間が横たわっている姿が、暴力的に目に飛び込んでくるんです。驚くと同時に、気分が悪くなりました。同時刻には、安倍さんが心肺停止になっている、という情報も流れていましたから、映像の深刻さで心が苦しくなりました。昔、写真週刊誌がえげつない写真を掲載していましたが、それと同じレベルですよ、今回のNHKは」(民放テレビ局スタッフ)
NHKにも苦情の電話が殺到したようで、安倍元首相が血まみれで倒れている映像はその後、流れなくなった。
民放は、ドクターヘリで搬送され、病院についた際の、担架に横たわる安倍元首相の姿を報じていた。ドクターヘリに乗り込む際はブルーシートで覆っていた。それだけ上空からの撮影に注意を払っていたが、病院到着時には、ブルーシートで覆う時間的余裕はなかった。それを映し放送した民放。政治家にも人権はある。
明らかに行き過ぎた報道が見受けられる。NHKは、自社記者が撮影した、大きな銃声が記録されている映像を、何度も何度も繰り返し映した。その音の生々しさが、視聴者にどういう影響を与えるのか。少なくとも、子どもには見せたくない。
ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが亡くなった際、自宅前から生中継し、通学中の小学生の姿まで映していたテレビ局が非難にされされた。
お笑い芸人であれ、政治家であれ、その生命にかかわるような報道は、視聴者の受け止め方まで考え、慎重に報道するべきだ。
東日本大震災の映像を流す際、テレビはテロップで、こういう映像が流れます、と断る。そういった配慮がまったくない、安倍元首相をめぐる暴力的な映像や音声の数々。
いずれ問題になる。
〈取材・文/薮入うらら〉