暑くなるとオフィスや自宅のリビングなど、複数人が一緒にいる空間でクーラーをつけることが増えてきます。ところが、同じ部屋に同じような服装でいるにもかかわらず、男性は「この設定温度だと暑い」と主張して女性は「この温度だと寒すぎる」と反論するという経験がある人も多いはず。「なぜ男性より女性の方が寒がりなのか?」という疑問について、オーストラリア・ボンド大学の健康科学部博士課程に在籍するシャーロット・フェルプス氏らが解説しています。

Yes, women might 'feel the cold' more than men. Here's why

https://theconversation.com/yes-women-might-feel-the-cold-more-than-men-heres-why-184329

男女の間にはさまざまな類似点があることがわかっている一方で、室内温度に関しては男性より女性の方が高い温度を好むとの研究結果が存在します。フェルプス氏らは「女性の方が男性より寒がり」という傾向について、以下のような理由を挙げています。

◆男性と女性の肉体的な差異

男性と女性の体重がほぼ同じであっても、体の熱を発生させる筋肉の量は女性の方が少ない傾向があるため、男性の方が同じ温度でも暑く感じやすいとのこと。また、女性は皮膚と筋肉の間により多くの脂肪を持っていることもあり、血管から遠い部分の皮膚はより寒く感じるそうです。加えて、女性は基礎代謝量が男性よりも低くて熱を産生しにくいことから、温度が下がった時に寒さを感じやすいとフェルプス氏は述べています。

◆ホルモン分泌の違い

女性で多く分泌されるエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンも、女性が男性と異なる温度感覚を持っている理由の1つです。エストロゲンは四肢の血管を拡張するため、より多くの熱が空気を通じて放出されやすくなります。また、プロゲステロンは内臓を温める領域に通じる皮膚の血管を収縮させて深部体温を低く保つため、女性はより涼しいと感じるようになるとのこと。

女性のホルモンバランスは月経周期によって変化しますが、一般的に女性の手・足・耳などは男性より3度ほど低く保たれるそうです。プロゲステロンの濃度は排卵後に最も高くなるとのことで、この時期の女性は特に涼しさに敏感になるとのことです。

なお、性別によって好む温度が違うのは人間に限ったことではなく、鳥類や哺乳類に関する研究でもオスは日陰のある涼しい場所に集まり、メスや子どもは日光のある温かい場所を好むことが報告されています。また、コウモリの研究でもオスは涼しい山頂付近を好み、メスはより温かい谷間を好むことがわかったとのこと。

性別によって好む温度が違うことの説明としては、メスがまだ体温調節がうまくない子どもと一緒に過ごす上で、より暖かい気温を好む方が有利だからという仮説があります。「従って、熱感知メカニズムの違いは進化上の利点を提供する可能性があります」とフェルプス氏は述べています。

しかし、人間社会では過ごしやすい温度が違うために、男性と女性が争いに発展してしまうこともあります。こうした争いへの対処法としては、カップルや夫婦であってもそれぞれ別の毛布で寝ることや、机周りに小型の扇風機や電気毛布などを持ち込み個人が温度調節することなどが挙げられます。実際に、それぞれの従業員が自分にとって最適な温度調節ができることは、職場における満足度をより高めるとの研究結果も報告されているとのことです。

by Robert