イーロン・マスクはロシアとウクライナの戦いをどのように変えたのか?
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by Everyday Astronaut
2022年2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始してから、最初の100日間で数千人が死亡しさらに多くの負傷者が出て、ウクライナ軍はロシア軍との消耗戦争に陥っています。そんな中で、政治に特化したアメリカのニュースメディア・POLITICOは、イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業のSpaceXが提供する衛星インターネット「Starlink」が、ウクライナの軍人と民間人両方を助けたと報告しています。
https://www.politico.eu/article/elon-musk-ukraine-starlink/
POLITICOはウクライナ東部の町・イジュームでロシアとの戦いに臨むオレクシー氏について取り上げています。オレクシー氏は、攻撃を計画する際に衛星受信機を介して上司に連絡したり、相手の攻撃により携帯電話ネットワークが切断された際に衛星メッセージで友人や家族に安全を知らせたりと、Starlinkを活用しています。また、状況が落ち着いた間にはStarlinkのインターネット接続を介して、最新ニュースを見ながらスマートフォンで「Call of Duty Mobile」をプレイしているそうです。オレクシー氏はバイデン政権がウクライナを支援するニュースをStarlinkによる通信で見て、「ありがとう、イーロン・マスク」と感謝を述べています。
Starlinkがウクライナに提供されたのは、ロシアのウクライナ侵攻が起きた2022年2月24日の3日後となる2月27日で、3月19日までに数千台のStarlink用アンテナがウクライナへ届けられています。Starlinkの利用にはアンテナと電源が必要な一方で、従来の通信設備は必要ないため、検閲やサイバー攻撃、地上施設への爆撃に対して耐性がある、つまりはロシア軍の攻撃により物理的に遮断されることはないため「ウクライナにとって予想外のライフラインになっています」とPOLITICOは報告しています。
イーロン・マスクの指示で衛星インターネット「Starlink」がウクライナであっという間に利用可能に - GIGAZINE
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by Tim Reckmann
ウクライナでのStarlinkの活用としては、ドローンが敵軍に爆弾を投下するのを助けたり、ロシアとの国境近くで通信手段を奪われた人々が暗号化された衛星を介して連絡を取れたりと、ウクライナの軍隊と民間人の両方のために活躍しています。ウクライナ副首相のミハイロ・フェドロフ氏はPOLITICOに対し「私たちは1万以上のStarlinkステーションを持っており、それはあらゆる面で私たちの日常の戦いに役立ちます。光がなくても、固定インターネットがなくても、Starlinkを使用した発電機を介して、ウクライナの接続を更新する準備ができています」とStarlinkの意義について語っています。
また、アメリカ国防総省で宇宙関連の防衛大臣を務めるスティーブ・ブトウ氏は「Starlinkの戦略的影響は、それがプーチンの情報戦略を完全に破壊したことです。プーチンは今日に至るまで、ゼレンスキーを沈黙させることができませんでした」と述べており、まだ生まれて間もないSpaceXとStarlinkについて、国内での評価が大きく上がっていることを示唆しています。POLITICOによると、Starlinkはその特性として「ロシアからの攻撃に耐える能力が強い」点が特に評価されており、通信の匿名性や、攻撃者によってシステム全体が無力化されることへの耐性などが証明されています。