「空に向かって″公募″と声を掛けます」~政治団体『国民怒りの声』設立で小林節氏が会見 - BLOGOS編集部
※この記事は2016年05月09日にBLOGOSで公開されたものです
9日、政治団体「国民怒りの声」の設立について、代表に就任する小林節氏(慶應義塾大学名誉教授・弁護士)が会見を開いた(司会は辻恵氏)。小林氏は立候補を決意した理由について「心と票をもらってるんですよね。あの動きに刺激されました」と、バーニー・サンダース氏から大きな影響を受けたことを明かす。
また、「僕はこの党名が嫌なんですが、多数決で決まった。『制服向上委員会』の歌を聞いていたら、『国民の声』という言葉が飛び込んできた。いくら喋っても無反応の、あの虚しさ。だから僕にとっては『聴け国民の声』が良かったんです。でも我々には時間がないじゃないですか。短期間でキャッチするために、まずは『国民怒りの声』で。山を越えたら『怒り』を外そうと思っている。」とコメント。
一方で賛同した10人の名前の公表は「無理だと思います。ビジネスしている人なんかは不利益があっても困る。彼らは思いと多少のお金を出して私を立てているわけでありまして、友人をここに晒すわけにはいきません。いつか山を越えた時にはご紹介します」と述べるに留まり、資金面についても「私たちだけでもそれなりのお金は作れますけれども、世論の支持なしではいけない。クラウドファンディングで反応を試し、盛り上がらなければやめる可能性もある」とだけ述べた。
小林氏らの声明
政治の使命は、国家権力を用いて主権者国民の幸福を増進することに尽きる。
国民にとっての幸福の条件は、自由と豊かさと平和であり、然るに安倍政権は、まず世界のどこででも戦争のできる法律を成立させてしまった。その理由として、「中国と北朝鮮の脅威から我が国を守るため」と主張している。しかし両国の脅威が我が国の専守防衛を実際に超えうるかは疑わしい。そして何よりも、憲法9条が軍隊の保持と交戦権の行使を禁じているために、海外派兵はできないとしてきた政府自らの解釈との矛盾を説明できていない。それは政府自身が、公然と憲法を破ったことになる。これは立憲主義の危機である。
つまり権力を一方的、一時的に託されただけの立場にある政治家が、主権者国民の最高意思である憲法を無視して、勝手に行動を始めたことを意味する。これは国民主権国家に置ける主客転倒であり、許されることではない。
次に、安倍政権は政府の秘密にした情報を永久に秘匿できる「特定秘密保護法」を制定してしまった。これは自由主義社会に例のないもので、主権者国民の知る権利を封鎖し、ジャーナリストの報道の自由を奪うものである。加えて放送法を悪用して、政府にとって耳の痛い言論人に「不公平」のレッテルを貼り、順次論壇から追放している。これは民主主義の前提である言論の多様性が保障された社会の圧殺である。
また、今回の消費税再増税中止の雲行きを見ても明らかなように、いわゆる「アベノミクス」は失敗している。年金基金の投機的運用による損失も深刻である。加えて、戦争法の制定に伴う防衛予算の突出は、着実に我が国の富を減殺していく。米国の経験を見るまでもなく、戦争は確実に国家財政を破綻に導くものである。
さらに海外派兵を可能にした戦争法は、これまで70年にわたり平和でいられた我が国に、戦争の危険を現実のものにしてしまった。これはまた、国際社会における「平和国家」としてのブランドの放棄でもある。
このように、政治の使命、つまり主権者国民の自由と豊かさと平和の推進に逆行する政策を確信を持って推進している安倍内閣には一日も早く退場してもらわなければならない。そのために、現行選挙制度のもとでは自公に学んで、野党は誠実に選挙協力をしなければならない、と私たちは熱心に主張し続けてきた。その結果、参議院1人区では、野党統一候補の擁立は着実に前進している。
他方、比例区に野党は統一名簿で参加せよ、という私たちの主張は理解が得られていない。統一名簿方式のメリットは2つある。第一は、これまでバラバラに戦って、野党各党が無駄にしてきた莫大な「死に票」も、統一名簿であれば合算されて確実に議席を生むという事実である。
第二は、野党共闘の本気度を示すことにより、これまでは「どうせ政治は変わらない」と諦めて棄権してきた3割以上もの無党派層に、「今度こそ政治が変わるかもしれない」という期待感を抱かせ、投票所に向かわせる効果がある。経験上、その多くは野党に投じられ、相対的に与党の組織票の効果を下げることができる。
しかし現実には、この野党統一名簿構想は頓挫してしまった。このままでは与党の勝利は目に見えている。そこで私たちは安倍政権の暴走は止めたいのだが、かといって未だに民主党政権の失敗を許すことができず、また共産党に投票する気にもなれない多数の有権者の代弁者たらんとして、ここに「第三の旗」を立てることにした。
基本政策は次の通りである。
1.まずなによりも言論の自由の回復。これはメディアや大学への不介入
2消費税再増税の延期と、真面目な行財政改革
3.辺野古新基地建設の中止と対米再交渉
4.TPPの不承認と再交渉
5.原発の廃止と新エネルギーへの転換
6.戦争法の廃止と関連予算の福祉教育への転換、また改正労働法生の改正等により共生社会に実現
7.憲法改正ならぬ改悪の阻止
以上。
「空に向かって"公募"と声を掛けます」
「2/3をとらせないということが唯一の関心事」という小林氏。参院選に向けて、現時点の立候補予定者は自身のみだという。今後については「特定の方には声はかけません。空に向かって"公募"と声を掛けます」「短期決戦になると思うので、IT型選挙しかない。インターネットを使って発信していく」とした。記者からの「野党への票が割れてしまう懸念があるのでは」との質問に対し、小林氏は「裾野を広げなきゃいけない。中間層の受け皿のようなものがなきゃいけない」「理想的な形で野党共闘が実現するのであれば、引っ込んで応援に回ることもある。」と回答。
さらに「SEALDsなどの市民団体に応援に入ってもらうか?」との質問に対しては「皆、行きがかりで立場とか組織を持ってるじゃないですか。そういうものと相談してやっていると時間がかかる。この2年間、イニシアティブについて喧嘩が起きたり、いろいろなもの見てきました。でも、このままで行ったら安倍暴走は止まらないんです。まずはとにかく旗を立てて、公平に、全ての人に参加してくださいと呼びかける」と述べた。
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