Twitterの元CEOのジャック・ドーシー氏が2019年に立ち上げ、現CEOのParag Agrawal氏が中核メンバーとなっていた「Bluesky」が、大規模分散型ソーシャルアプリケーション向けプロトコル「Authenticated Data eXperiment(ADX)」の初期テスト版をリリースしました。

Working In Public - Bluesky

https://blueskyweb.xyz/blog/5-4-2022-working-in-public

Twitter’s open-source offshoot Bluesky releases first experiment - The Verge

https://www.theverge.com/2022/5/4/23057473/twitter-bluesky-adx-release-open-source-decentralized-social-network

What Twitter's open-source arm has been working on • The Register

https://www.theregister.com/2022/05/05/bluesky_update/

Blueskyが開発しているADXは特定のSNSプラットフォームの基盤となるプロトコルではなく、ユーザーが公開したコンテンツをADXを採用しているあらゆるプラットフォームで利用できるようにするというプロトコル。現行の中央集権的なSNSではユーザーデータはプラットホーム側が所有していますが、ADXが掲げる非中央集権的なSNSではユーザーデータはユーザー自身が所有する「個人データリポジトリ」内に保管され、このリポジトリ内部にデータを保持する「スピーチ」と特定プラットフォームにデータを受け渡す「リーチ」の2種を厳密に区分している点が特徴です。

今回Blueskyが公開したADXは、名称に含まれる「eXperiment(実験)」という語句が示す通り初期テスト版という位置づけで、「本番環境には対応していません」「製品版どころかアルファ版ですらありません」「インターフェイスやデータ構造は抜本的に変更される可能性があります」と明記されています。

GitHub - bluesky-social/adx: Experiment in self-authenticating data structures for a federated social network

https://github.com/bluesky-social/adx



初期テスト版の段階で公開に踏み切った理由について、Blueskyは「研究プロセスの一環として、アイデアの検証とエッジケースの発掘用にコードを書きました」と述べ、現状の取り組みに関する理解を深めてもらうために公開したとコメント。「今回のデモは『ソーシャルポスト用のGit』といったところ」「自由に遊んでみてください」と語っています。

なお、Twitterがイーロン・マスク氏による買収などで盛んに報じられている現状について、Blueskyは「Twitterから1300万ドル(17億円)の資金提供を受け、Twitterの元CEOであるジャック・ドーシー氏が役員に就任し、Twitterの元セキュリティエンジニアもチームに参加しているものの、Twitterによる資金提供には何の条件も付されていないことから、自由と独立性は確保されている」と語っています。