任天堂ゲーム「ウクライナ侵攻」で発売延期 戦争題材に「待った」過去にも
ニンテンドースイッチ用ゲーム「Advance Wars 1+2: Re-Boot Camp」(任天堂)の発売が延期された。ゲームボーイアドバンス用ソフト「ゲームボーイウォーズアドバンス1+2」(2004年)をリメイクした作品で、2022年4月8日に海外で発売予定だったが、「最近の世界情勢を考慮」したという。
新たな発売日は未発表。「ゲームボーイウォーズアドバンス」は軍を指揮して戦闘を行う戦略ゲーム。その内容から、ロシアのウクライナ侵攻に配慮したものではないかとインターネット掲示板などで指摘されている。このように、紛争やテロ行為の影響で、戦争を題材にしたビデオゲームの発売やテレビ番組の放映に影響が出るケースは少なくない。
湾岸戦争や同時多発テロでも
1991年の米国連続ドラマに、「アンダーカバー」というスパイをテーマにした作品がある。米国のテレビ番組について解説した「The Complete Directory to Prime Time Network and Cable TV Shows, 1946-Present」(ティム・ブルックス氏・アール・マーシュ氏著)によると、このドラマでは、イラクがイスラエルにミサイルを発射するというエピソードを放送する予定だった。
しかし放送期間中、イラクのクウェート侵攻をきっかけとした湾岸戦争が開戦。この回は急きょ放送を中止したとのことた。
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件はさまざまなゲームに影響を及ぼしたと、同年9月17日付の「電撃オンライン」が伝えている。戦闘機による空中戦をテーマにしたプレイステーション(PS)2用ソフト「エースコンバット04」はテレビCMの放送を自粛。ビルの爆破解体を題材にしたパズルゲーム「ビルバク」(PS2)は発売を延期したという。
近年では、過激派組織「イスラム国(IS)」のテロ行為が知られる。2015年1月26日付「SankeiBiz」によると、イスラム国による日本人殺害脅迫事件を受け、フジテレビ系アニメ「暗殺教室」第3話が放送を見送られた。登場人物がナイフを振り回すシーンが含まれており、フジ広報は「事件が進行しているなかで、情勢に配慮した」と説明したとのことだ。
映画メディア「シネマトゥデイ」の2015年11月21日付報道によると、米国の連続ドラマ「NCIS:LA 〜極秘潜入捜査班」や「スーパーガール」では、テロやイスラム国を題材としたエピソードが放送中止となった。13日(現地時間)にフランス・パリで発生し、イスラム国が犯行声明を出した同時多発テロ事件を受けたものだ。
「ソ連の宇宙飛行士」のゲームが
冒頭の「ゲームボーイウォーズアドバンス」のように、ウクライナ侵攻の影響を受けた作品はほかにもある。戦争を題材にしたわけではないが、ソビエト連邦の宇宙飛行士が主人公という設定の海外ゲーム「Little Orpheus」は、3月2日予定だったパソコン版・家庭用ゲーム機版の発売を延期した。発表によると、こちらも「最近の世界情勢を考慮」したことによるという。
ウクライナ侵攻に直接関係しているかは不明だが、映画番組「午後のロードショー」(テレビ東京)では放送作品の差し替えが相次いでいる。番組ツイッターによると、3月中に放送を予定していた、ヒトラー暗殺計画を描いた映画「ワルキューレ」や、軍隊・戦争を描いた「ネイビーシールズ」「ハート・ロッカー」は他作品に差し替えとなった。