涙の会見後のパリ入りはフェイクニュース? メッシ、バルサ退団→PSG加入の舞台裏
移籍市場に精通するロマーノ記者がバルサ退団からPSGとの交渉への流れをレポート
アルゼンチン代表FWリオネル・メッシは、フランスの強豪パリ・サンジェルマン(PSG)加入が決まり、現地時間11日に入団会見を行った。
スペインの名門バルセロナから衝撃の退団、そしてPSG入りとなった舞台裏について、移籍市場に精通するファブリツィオ・ロマーノ記者が英高級紙「ガーディアン」に寄稿している。
メッシがバルセロナから退団することが発表されたのは現地時間5日の木曜日。記事によると、朝の時点ではそのような兆候はなく、「メッシは父親とともにイビサ島からバルセロナに戻り、カンプ・ノウでの5年契約にサインしていた。発表は午後8時に予定されており、その内容は、2年分の給料を5年間にわたって支払い、財政難に陥ったクラブを支援するというものだった」という。
しかしながら、その時間に行われた発表はバルセロナがリーグの定めるサラリーキャップ規定を満たせないため、メッシが退団するというもの。実際にジョアン・ラポルタ会長からその決定を伝えられたメッシは取り乱してしまったという。しかし、父ホルヘさんの「すぐに解決策を見つけるべき」という提案は、落ち着きを取り戻させるものになった。
そして、発表から2時間後の午後10時に、PSGのスポーツディレクターを務めるレオナルド氏がホルヘさんとメッシの弁護士に直接アプローチし、さらに夜のうちにはナセル・アル・ヘライフィ会長も交渉に参加。そして、「ヘライフィ会長は、4年前にネイマールがバルセロナから移籍した際にも参加しており、今回の参加は移籍の規模とPSGの本気度を裏付けるものだった」ともレポートされている。
PSGのトップ2名とメッシサイドの代表者2名の合計4人による話し合いは木曜の深夜、そして6日の金曜日まで継続。その中では、ボーナスを含む手取り3500万ユーロ(約46億円)の2年契約に1年のオプション付帯、さらに税金やスポンサーなどの交渉に多くの時間が費やされた。そして、メッシの契約には、ネイマールの契約と同様に、PSGがUEFAチャンピオンズリーグを制覇した場合にボーナスを支給するという条項があるという。
「1週間前には、PSGがメッシを獲得する可能性はなかった」
7日の土曜日には口頭での合意が成立し、PSGは法務チームと正式な契約書を作成。この契約書は、メッシがバルセロナで涙の別れの記者会見をする前、8日の日曜日午前10時にメッシに送られたという。メッシは世界的にも注目された“涙の会見”でPSGとの契約が完了していることを否定したが、実際にはほとんど決まっていたようだ。
そのうえでメッシの弁護士は、契約書の細部確認のために2日間の猶予を要求。つまり、会見直後にパリへ飛んだという噂はフェイクニュースであり、実際には10日の火曜日午前10時ごろに最終的な合意が確認され、メッシはバルセロナの自宅をあとにしたという。
ロマーノ記者は「1週間前には、PSGがメッシを獲得する可能性はなかった。しかし、移籍に関しては時として予想外のことが起こる。だからこそ、不可能と思われた取引が実現したのだ」と締めくくった。
バルセロナとの悲劇の別れから2時間後には獲得に向けて具体的に動いたPSGのスピード感が、舞台裏では際立っていたようだ。(Football ZONE web編集部)