開会式に参加した松井秀喜(写真・JMPA)

 7月23日に開催された東京オリンピック開会式。聖火リレーの最終走者として聖火台に火をともしたのは大坂なおみだった。

 だが、実は、「東京2020組織委員会」森喜朗元会長の「神の声」によって、当初は松井秀喜が最終走者に内定していたという。8月4日(日本時間)、アメリカのニュースサイト「デイリー・ビースト」が報じた。

 2014年、電通は組織委員会から「マーケティング専任代理店」として指名され、事実上、東京五輪を仕切ることが決まった。その電通の社員が、デイリー・ビーストの記者に匿名で明かしたという。

 同記事によると、森元会長は松井を「純粋な日本人であり、日米野球のヒーローで、“闘志” を具現化した存在」として最終走者に指名。記事では、「事実上、神の声だった」と電通社員が明かしている。

 松井といえば、MLBで175本塁打を放ち、日米通算507本塁打を打った名選手。「ゴジラ」のあだ名で、アメリカでは誰もが知る有名人だ。森元会長は「ゴジラが炎を吐き、松井が “大釜” に火をつけるのは面白いだろう」と話したという。

 だが、森元会長は2月、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言し、批判をあびて辞任。このため、松井最終走者案は潰えた。

 森元会長が松井にこだわったのは理由がある。同じ石川県根上町(現在の能美市)出身で、小学校も同じ。松井の後援会会長を務め、2001年には「日本プロスポーツ大賞・内閣総理大臣賞」を授与してもいる。

 開会式のエグゼクティブ・プロデューサーを務めた日置貴之氏は、開会式後の記者会見で、大坂なおみを選んだ理由について「日本を代表するアスリートで、最もふさわしい最終走者だと思った。かなり慎重に時間を使いながら人選してきた」と述べている。

 だが、デイリー・ビーストの報道が正しければ、実際は、単に森元会長の辞任によって入れ替わっただけということになる。

 開会式に「市川海老蔵を入れて」とゴリ押ししたことが『週刊文春』で報じられている森元会長。“お友達” を優遇する態度は、オリンピックを私物化していると言われても仕方ないだろう。