短期間の勉強で東大に合格する人たちがやっているノウハウを伝授します(写真:Fast&Slow/PIXTA)

東京大学への合格が難しいと言われる理由は、入試科目が多く、かつ高得点を求められるという点にあります。当然、勉強量は非常に多くなるわけですが、では時間を無駄にせずに効率よく学ぶためにはどうすればよいのでしょうか。家族の看護や家計を助けるためアルバイトをしながら、東大に合格した経験を持つ布施川天馬氏(『東大式時間術』を7月刊行予定)が、その方法を解説します。

わずか1年の勉強で東大に合格する人はいる

現在、日曜劇場「ドラゴン桜」が話題沸騰中で、「東大受験」というものに対する認知度が向上していますね。あのドラマでは偏差値30台の生徒が東大に1年で合格する、という内容なわけですが、はたして本当に、東大に1年間で合格できるのでしょうか。

いちばんのネックになるのは、やはり時間の問題ですよね。東大に合格するためには、膨大な量のタスクを処理しなければなりません。

東大はほかの大学と比べても格段にやることが多いです。共通テストでは文系が5教科8科目(もしくは6教科8科目)、理系が5教科7科目の受験が必須で、二次試験では文系、理系とも4教科5科目が必要になります。

ですが、実は「1年がっつり勉強して東大に合格した」と語る人は少なからずいます。すごい人だと「夏に部活が終わって、秋から勉強を始めて東大に合格した」「部活ざんまいだったから夏までは勉強していなかった」という東大生もいます。ちなみに僕は、家が貧乏だったので週3日アルバイトをしながら、一浪して東大に合格しました。

東大生は、時間の問題を自分でなんとかして合格をつかんでいる人が多いのです。今日は、僕やほかの東大生がやっていた時間術についてお話ししようと思います。

先に結論からお話ししましょう。東大生は、マトリックスでタスクを考えるということをしています。

縦軸にタスクの作業量の多さを、横軸に締め切りのキツさを尺度としておきます。そして、その中に付箋でタスクを書いていきます。

例えば「英単語テスト勉強 明日まで!」「東大模試の振り返り 2週間後まで」と書くわけです。


(画像:筆者提供)

そうすることによって、「(作業量的に)キツいけど締め切りが遠いタスク」「キツくて締め切りが近いタスク」「楽で締め切りが遠いタスク」「楽だけど締め切りが近いタスク」というように分けることができます。

それぞれの項目の性格が一目でわかる

「リストアップでもいいじゃないか」「マトリックスにする必要ってある?」と考える人もいるかもしれませんが、マトリックス配置の優れている点は、それぞれの項目の性格が一目でわかることです。このままでも締め切りに間に合いそうなのか、それとも誰かに応援を頼んだほうがいいのか、といった判断を一瞬でつけることができます。

基本的にこのような「自分の頑張りで左右される、自分でジャッジしないと進まないこと」についてあれこれ考えを巡らせるのは無駄です。時間を無駄にしている人は、この「悩んでいる時間が多い」というのが欠点だと思います。

なので、分類だけして、さっと判断できるマトリックスは、整理という観点から見て非常に優れたフォーマットです。さまざまなことに応用も効きますから、情報整理で行き詰まったら試してみるとよいかもしれません。

基本的には、締め切りも作業量もきつい仕事を最優先で終わらせるべきだと思いますが、僕の場合だと、時により、自分のスイッチを入れるために比較的締め切りの近い楽な作業をいったんこなしていくということをやることがあります。そのほうが気分的にラクになって、「さあ、あとはこの大きなタスク1つだけだ!」と進めやすくなるということがあるからです。

多くのタスクを同時並行で進めるのが得意な人もいるでしょうから、そういう人は普通でいいと思います。が、このようにラクなところからやっていくというのもいいかもしれません。これは性格によってわかれるところで、東大生でもどちらのタイプもいるなという印象を持ちました。

ある東大生は「重いタスクを1つ終わらせてから、軽めのものにアプローチをする」ということをしていました。また「締め切りにまだ余裕のあるものから先にやっていって、締め切りが直近のものは後から取り組むことで、自分に火を付ける」というやり方を実践している人もいました。いろんなタイプがいるものですが、自分に合わせたやり方を進めていくというのはとてもいいことだと思います。

さらにおすすめなのは、マトリックスを使う前に、持っているタスクを振り分けるところから始めるということです。

例えば、各々のタスクの性格について「私的なタスク」と「公的なタスク」に振り分けていき、それぞれ別の色の付箋やペンを使ってマトリックス内にそれぞれの予定を書きこんでいきます。これは、公私を混同してしまうと、「結果的に自分のことが最優先になってしまった」というようなことが頻発してしまうためです。

僕は基本的に、自分が動かなければほかの人に迷惑がかかる公的なタスクを最優先にこなし、余ったところに私的なタスクを優先度順に入れていくというようにしています。

他人に迷惑をかけずに仕事ができる

公的なタスクと私的なタスクの扱いについては当然だと思われる方も多いかと思うのですが、これを可視化することによって、具体的に何をすればいいのかが一目でわかります。ビジネスパーソンであれば、より他人に迷惑をかけずに仕事をすることができるようになります。


勉強においても、宿題として提出しなければならないものやテストとしてやらなければならないものもありますよね。そういうものを優先していくというのがいいと思います。

このように勉強をマトリックス化していくことで、効果的に時間を作ることができます。いってしまえば、考える時間は無駄です。ぐだぐだ考えて何も進んでいなければ何もしていないのと同じですし、時間ばかり食って何にもならないこともあると思います。

東大生は、この「考える時間」を短縮していくことで時間を効率的に使っていました。だからこそ、ほかの人よりもうまく時間を活用し、東大に合格していたわけですね。皆さんもぜひ、真似してみてください!