朝〆とり丸揚げ | 食楽web

 都営三田線・本蓮沼駅のA4出口を出ると、目の前は中山道。交通量の多い道路を脇に見ながら歩くと、行き交う車両の音の中から、何やらテンポのよい明るい歌声が聞こえてきます。

から から からあげ~♪
かみ かみ 神のからあげ~♪

 こ、これは、からあげの歌!? その歌に導かれるように歩いて行くと、ぷ~んといいにおいが漂ってきます。そう、からあげの、あの魅惑的な香りです。ここが今回ご紹介する『神のからあげ』。2020年8月にオープンした、テイクアウト専門のお店です。

都営三田線・本蓮沼駅A4出口からすぐのところにあります

 店主の長岡雅也さんによれば、「美味しさのこだわりは当然ですが、食べて楽しくなるお店にしたいと思っています」と話します。店頭のスピーカーから流れてくる楽しい歌も、長岡さんのアイデア。もちろん、味の探究にも熱心で、オープン以来、なんとレシピは10回以上アップデートしているとのこと。「今後も改良を加えていきます」と長岡さんは意気込みます。これは楽しみですね。

 というわけで、こちらの名物である朝〆鶏を使った絶品からあげを食べてきましたので、その魅力をご紹介しましょう。

こだわりの「朝〆とり丸揚げ」の味わいは?

「朝〆とり丸揚げ」(100g166円・以下全て税抜)は、低温調理をしているそうで、オーダー後5分前後で提供。お願いすると食べやすく切り分けてくれます

 まずいただいたのは「朝〆とり丸揚げ」。半身単位600~700gで提供される素揚げです。通常、半身揚げは20分前後の揚げ時間を要しますが、こちらではオーダー後5分前後で出てきます。「低温調理をした鶏肉を揚げています」と長岡さん。なるほど、それで短い揚げ時間で提供できるんですね。

 頼めば食べやすく切り分けてくれるのがありがたいです。この素揚げ、ニンニクが効いています。モモ、ムネ、手羽先などいろいろな部位を楽しめますが、モモ肉部分が特に美味。プルンとした食感で旨みが強く、骨周りは、骨に付いた肉までしゃぶり尽くてしまうほどの美味しさでした。

一番人気の塩からあげの「ミックスセット」(780円)。モモ肉とムネ肉のからあげが3個ずつのお得なセット

 お次は、一番人気の塩からあげの「ミックスセット」をいただきます。1個60gほどもある、ジャンボからあげです。

 まずはムネ肉から。衣は片栗粉、パン粉、すり胡麻などを使用しているとのことで、なかなか遭遇できない食感です。パリッと崩れるわけではなく、カリッと砕けるわけでもなく、サクッと溶けていく感じ。

 降り積もった粉雪に触れたときのような歯ざわりで、その下の肉にすぐになじんでいきます。北海道産の天然昆布やアゴの微粉末を使用しているそうで、しっとりとしたムネ肉から口の中に広がる肉の旨みに、ほのかに漂う魚介の風味がいい仕事をしていますね。

これはモモ肉の塩からあげ

 そしてモモ肉は弾力あるやわらかさ。歯の圧に対してしなやかに抵抗しつつ噛み切れてくれます。衣はちょっと洋風な味わいですが、肉は和風という、これまた不思議な味わいです。

 ちなみに店頭に流れていた楽しげな歌。お店を離れてもしばらく頭の中で流れていました。あの歌に誘われるようにして、また近々再訪しそうな予感がします。

●SHOP INFO

店名:神のからあげ 本蓮沼本店

住:東京都板橋区泉町6-13
TEL:03-3968-1136
営:11:00~20:00(材料がなくなり次第終了)
休:年末年始

●著者プロフィール

松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。