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 数あるオーブントースターのなかで、最近注目されている一台があります。それは、パナソニックのオーブントースター「Bistro(ビストロ) NT-D700」。このオーブントースター、高級「生」食パン専門店『乃が美』のお墨付きをもらうほどの一台なんです。

 仕事柄、各社の最新オーブントースターを使う筆者も、今回は手元に届くのが特に楽しみでした。そのぶん、期待値も高まっていたので、並大抵の仕上がりでは納得いかないぞ…! というのが本音。しかし、ひと通り使ってみて感じたのは「買わない理由がない」ということ! 筆者がビストロに惚れ込んだポイントをご紹介しましょう。

冷凍も厚切りもどんと来いのトースト機能

サイズは幅34.1×奥行き32.8×高さ26.9cm、重さは約4.3kg。本体全面がスモークガラスになっている

 ビストロは全面スモークガラスを採用したモノトーンデザインのオーブントースターです。とにかくボタンが少なく、これまでの同社のオーブントースターとは印象が大きく異なります。

 ビストロは2枚焼きタイプのオーブントースターですが、2枚焼きとしてはサイズは大きめ。設置場所をあらかじめ検討したうえで購入したほうが良さそうです。とはいえ、操作部はクリックダイヤルと2つのボタンのみで、キッチン家電に特有のごちゃごちゃした感じは一切ありません。

ボタンが少ないので、操作性がシンプルでわかりやすい

 本体前面下部の中央にはフルドット液晶を搭載し、ダイヤルを回してメニューと焼き色を選択したら、あとは「スタート」ボタンを押すだけ。従来の同社のオーブントースターには「トースト」や「そうざいパン」などメニューごとにボタンがあったのですが、ビストロは操作性もシンプルなんです。

搭載モードはうすぎりトースト/あつぎりトースト/アレンジトースト/冷凍うすぎりトースト/冷凍あつぎりトースト/そうざいパン/フランスパン/クロワッサン/冷凍クロワッサン/チルドピザ/冷凍ピザ/フライあたため/パックもち/焼きいも/じっくり焼きいも/手動、と大充実。電子レンジのように残りの加熱時間がわかる

 ビストロが得意とするのは「厚切りの食パン」と「冷凍の食パン」。もちろん「厚切り&冷凍の食パン」も問題ありません。筆者も専門店で食パンを買うと自宅でカットするので厚切りで楽しむことが多いのですが、意外と焼き加減が難しいもの。そして、食べきれないぶんは1枚ずつラップに包んで冷凍保存するのですが、冷凍した食パンをおいしく焼くには解凍しなければなりません。

焼き色3で厚切りトーストを焼くのにかかったのは3分。トーストの香りが普段よりも際立っているように感じた

 しかし、ビストロには「あつぎりトースト」「冷凍トースト」「冷凍あつぎりトースト」モードがあるんです! 今回はあえてスーパーで買える食パンを使って「あつぎりトースト」と「冷凍うすぎりトースト」を試してみました。

これまで冷凍の食パンをおいしく食べるには、自然解凍するひと手間がかかったが、ビストロなら冷凍庫から出してすぐにトーストできる

 どちらも表面はサクッと香ばしく、なかはふわふわに仕上がっていました。冷凍の食パンを使ったトーストのほうは冷凍していたぶん、生のまま焼いた食パンよりも水分量が少なく感じましたが、なかまでホカホカの状態で、温度ムラも感じません。

パンを焼いている最中は庫内に水蒸気が閉じ込められているのがわかる

 この絶妙な仕上がりのカギとなるのは、「インテリジェント制御」と「遠近トリプルヒーター」。インテリジェント制御では、「パンが厚切りか薄切りか」「常温か冷凍か」を選ぶだけで、庫内温度や電圧などの環境に応じて7200通りのプログラムの中から最適な焼き方を選んでくれます。また、トーストの中と外を同時に加熱する遠近トリプルヒーターのおかげで、冷凍の食パンや惣菜パンも芯まで温めてくれるんです。

ただのパンがごちそうにレベルアップ!

パリッとした皮の香ばしさだけでなく、生地のもっちり感も楽しめるのは初めての経験だった。何度でも食べたくなる仕上がりだ

 ビストロはトーストを焼くだけでは魅力を語れません。筆者が個人的におすすめしたいのが「フランスパン」メニューです。

 こちらもスーパーで買える普通のフランスパンを使ったのですが、皮はカリッと、なかはふかふかに仕上がり、まるでベーカリーでこだわりのフランスパンを焼いたかのよう! なかなか焼きたてのフランスパンを食べる機会はありませんが、ビストロがあればいつでもお店で焼き上がった直後のような状態で楽しめます。

 また、トッピングトーストが焼ける「アレンジトースト」メニューで作ったエッグトーストも絶品! 食パンのフチにマヨネーズを絞り、そのなかに生卵を割り入れて塩コショウして焼くだけなのですが、きちんと白身は固まり、黄身は半熟というパーフェクトな仕上がりに。いわゆる”ラピュタパン”も一気にごちそうに早変わりした気がします。

アレンジトーストを焼く際はトレイの上に載せる。卵の火の入り具合が絶妙で驚かされた

 ただし、トッピングトーストの高さは6cm以内という制限があるので、欲張りすぎるのはNG。トッピングとなる具材を焦がさないためにも、チーズやカットフルーツなどあまりかさばらないものを使うのが良さそうです。

焼きいもは時間がかかるが神メニュー

紅はるかや安納芋、シルクスイートなどねっとり感のあるさつまいもなら「じっくり焼きいも」メニュー、ベニアズマや高系14号などホクホク感のあるさつまいもなら「焼きいも」メニューを使うといい

 パナソニックのトースターにはこれまでも「焼きいも」メニューが搭載されていました。ビストロではさらに進化し、「焼きいも」メニューに加え、「じっくり焼きいも」メニューも搭載されています。

 普段焼きいもはあまり食べない人にこそビストロの「じっくり焼きいも」メニューで焼いたいもを食べてほしい! 低めの温度でじっくり加熱するので、さつまいもがねっとりして甘みが桁違いなんです。また、電子レンジで作るのとは違い、皮に焦げ目が付くので香ばしさもあります。

 自宅で焼きいもを焼くと、パサパサになったり焦がしたりしがちですが、ビストロは焼き目を選ぶだけで自動で火加減を調整してくれます。……が、パンよりもサイズや形にばらつきがあるので、トーストとは違って定期的に見守る必要がありました。

 1点注意したいのが、「じっくり焼きいも」メニューは完成までに時間がかかること。53~73分となっており、電子レンジで加熱するよりも待たなければなりません。しかし、ビストロで一度さつまいもを焼くと「明日も焼こうかな」と思えるようなお店レベルの焼きいもが作れます。

 ビストロ NT-D700の実売価格は2万7000円前後。トースターの買い替えを検討している人はもちろん、厚切りや冷凍の食パンを食べることが多い家庭なら選んで損のない一台になりそうです。

●DATA

オーブンオースター ビストロ NT-D700

https://panasonic.jp/toaster/products/NT-D700.html

●著者プロフィール

今西絢美
「おいしいものナビゲーター」として、調理家電や食に関する記事を執筆。フードツーリズムマイスター、利酒師の資格も持つ。ウェブサービスやアプリのトレンドも絶賛追跡中。コンテンツ制作会社「TEKIKAKU」取締役。