【西出ひろ子】オンライン会議、「上座」は気にする必要がないと確実に言えるワケ マナーも少しづつ変わってきている

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新型コロナの影響で、今や当たり前となったオンラインのミーティングや商談。どんなことに気をつけるべきか、どうすればスムーズに進むのか、手探りのビジネスパーソンも多いだろう。マナー講師で、最新刊『超基本 テレワークマナーの教科書』を出版した西出ひろ子さんは、「役職を名乗る」「席次は気にしない」といったコツを挙げる。覚えておくと一目置かれる、「オンライン会議」時代の新しいマナーを教えてくれた。

紹介順を先に決めておく

社内会議で参加者全員が顔見知りなら、最初の挨拶を終えるなり、本題に入ることもあるでしょう。

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しかし、社外の人も交えた会議では、1人でも初対面の方がいたら、リアル会議と同様、「自己紹介」が必要です。

テレワークが浸透すると同時に、社外の人との接点が減る傾向があります。「ネットを通じて連絡はしているが、実際に会ったことはない」といった仕事相手がいるのではないでしょうか。そうした人たちが参加するオンラインミーティングでは、なおさら自己紹介が重要になります。

多くのオンラインミーティングでは、ホストが進行役を務めるため、最初にホスト自身が挨拶をします。それからホストに促される形で、参加者が挨拶していきます。

おおまかには、次のような流れとなります。

(1)ホストの挨拶と自己紹介
(2)自社側の自己紹介(役職の高い順)
(3)取引先側の自己紹介(役職の高い順)

自己紹介は「目下の者から」というルールがあります。まずはホスト役の人が属する会社の役職の高い人から順に自己紹介をしていきます。そう考えれば、自分が挨拶する順番もわかりますね。

自己紹介では役職も名乗ろう

役職の近い人が複数参加していて、自己紹介のタイミングがわからないときは、社内であらかじめ調整しておきましょう。

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自社が開催する会議であれば、その順番をホストにも伝えておくといいですね。「続いて、○○さん、お願いします」と、ホストが自己紹介を促す進め方もできるからです。

あなたの挨拶の順番が回ってきたら、次のように挨拶をするといいでしょう。ポイントは役職を名乗ることです。

「おはようございます。係長の山田です。よろしくお願いいたします(一礼)」

一般的に、初対面の挨拶の際は、名刺交換をします。このとき、役職を名乗ることはあまりありません。

しかし、オンラインミーティングでは名刺交換ができないので、事前にオンライン名刺交換をしていなければ、互いの役職を知ることができません。

互いに失礼のないようにコミュニケーションを取るには、役職がわかっているほうが安心です。役職も伝えましょう。

席次は気にしないで大丈夫

ツールにもよりますが、多くの場合、入室した順番で画面上の表示位置が決まります。

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早めに入室した人が上段になることが多いため、「目上の人より上に映らないように、目下の人は後から入室すべき」「早めに入室してしまったら、一度退室して、改めて入室する」といった主張をする人がいるようです。その結果、若い方がミーティングの開始時間になっても入室を躊躇してしまうという話をうかがったこともあります。

結論から言えば、現時点においてオンラインミーティングで席次を気にする必要はありません。現時点ではすべてのアプリが席次を意識した仕組みになっていないからです。Zoom社が映る位置を移動できる仕組みを作り話題になりましたが、これも上座下座を設定するためではありません。

そもそも、オンライン会議の画面で、どこが最上位の人の位置となるのでしょうか。また、それは誰が決めることなのでしょうか。仮にそれが決められるときがきたとしても、それをマナーとはいいません。

それよりも入退室、席次決めに時間をかけ、時間どおりにミーティングを始められないほうが非効率的であり、非現実的ともいえます。

こうした機能を活用して、上座下座を決めたいのであればそうすればよいでしょうし、席次を意識せず生産性を高める話し合いに集中したいのであれば、もちろんそれでよいでしょう。

これからはお互いを尊重し合う時代です。そして、マナーは、TPPPO®(Time=時、Place=場所、Person=人・相手、Position=立場、Occasion=場合)に応じて、その型は変わってもよいものなのです。

さらに、あなたの見ている画面と、ほかの参加者の見ている画面の映り方が必ずしも一緒であるとは限りません。あなたのパソコンの画面では、上司の顔があなたの真下に映っているかもしれませんが、上司のパソコンの画面では、あなたが下段に映っているかもしれないのです。

いちいち気にしても仕方がないということです。

「新しい時代」の新しいマナー

日本政府が「新しい生活様式」を推進しているように、仕事の仕方が変わり、それとともに、ビジネスマナーも「新しいビジネスマナー」に変わってきています。

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テレワークが増えただけでなく、作業環境、勤務スタイルも大きく変わり、人々の意識も変わってきています。

このような激動の時代において、「これまではこうだったから」と以前のやり方に無理矢理合わせようとしたり、「これは失礼」「これが正しい」などと細かいことをいちいち気にしたりしているようでは、どんどん取り残されてしまいます。

これまでの型にこだわるビジネスマナーに縛られるのではなく、新しいビジネスマナー、つまり、相手を不快にさせない気持ちを持って、スマートにビジネスを行うことを大事にしていきましょう。

将来、オンラインミーティングのアプリが進化し、席次を自由に動かせる仕組みのものが増えたら、改めて「オンライン席次問題」が取り上げられるかもしれません。しかし、現在はそうした機能がないのですから、考えるだけ時間のムダです。

オンラインミーティングで自分の顔が上司よりも上にあったり、部下の顔が自分より上にあったりしても、お互いに気にしないことです。