ボビー・オロゴン

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 先日、妻に対する暴行の疑いで現行犯逮捕されたボビー・オロゴン容疑者が釈放された。'99年に結婚し、5人の子宝に恵まれ、バラエティーでも仲良し家族のイメージが強かっただけに世間もさぞビックリしたことだろう。マスコミの取材に応じた妻が「長年DVに悩んでいた」と告白する一方、ボビーは容疑を否認しているだけに真相は本人たちのみぞ知るわけだが、今回で明らかになった動かしがたい事実がひとつある。

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 それはボビーが「7歳サバを読んでいた」ことだ。

 事務所の公式プロフィールによると、1973年生まれの47歳のはずなのだが、埼玉県警の発表により、1966年生まれの54歳だということが判明した。夏川純や真鍋かをりが年齢詐称していた意味はわかるのだが、ボビーが若くみせて何の得があるというのだ。グラビア写真集でも出すつもりだったんか。

 逮捕した県警が「公的書類で年齢を確認した」と発表しているというから、サバ読みは確定的なわけだが、彼が疑惑をかけられたのはこれが初めてではない──。

セインカミュより年上では困る

 まず、'05年に『週刊女性』(9月27日号)で「ボビーのパスポートを見た人」の証言により年齢詐称疑惑が浮上。当時、取材を受けた事務所は《パスポート上は(7歳上の)39歳です》と堂々と認めたうえで、ナイジェリアでパスポートを作った際に“手違いで兄の年齢と間違えらえた”と弁明し、

《それでもやっぱりまずいんじゃないか? ってことで、ナイジェリアの大使館に訂正を申し込んだんですが、“本国とのやりとりが煩雑だし、問題ないから別にいいんじゃないか?”っていわれまして(笑い)》

 と続け、最後まで「プロフィール上は32歳である」と頑なに認めなかった。それを受けた同誌が今度はナイジェリア大使館に話をきくと、《本国の政府が何度もチェックしてパスポートを発行しておりそんな間違いがそうそう起こるものではないです》と返され、真相はお蔵入り。また、'06年にもギャラを巡り当時所属していた事務所で大暴れし、暴行容疑で書類送検されたときにも疑惑が報じられたが、こちらも謝罪会見で本人が否定している。

 度重なる"サバ読み”報道と、当時の所属事務所による否定。ここまで頑なだったのには、“デビューの起源”が関係しているのでは? と私は考える。

 '01年に『さんまのSUPERからくりTV』(TBS系)で街頭インタビューを受け、あの“オトボケ日本語”を披露したことから世間の目に止まり、芸能界デビューしたボビー。同番組のセイン・カミュが担当するワンコーナー『セインのファニエスト外語学院』に生徒役としてレギュラー出演するようになってから大ブレイクした。当時、外国人タレントとしてトップにいたセインがカタコトで天然なボビーをイジるという構図がウケたわけだが、“先生役”のセインカミュは'70年生まれ。

 つまり、実年齢のボビーの4歳年下となる。対し、年齢詐称したプロフィールだとセインが3歳年上のかたちになるので、生徒と先生の立ち位置上“ちょうどいいポジション”に収まるのではないか。

 そして、さらに疑惑が深まるのが、当時セインとボビーは同じ芸能事務所に所属していたこと。「'73年生まれ」と年齢を設定したのが事務所に所属したタイミングだとすると、セインの存在によりサバを読んだのが“7歳ぶん”だった謎についても合点がいく。

 ボビーの”カタコト外国人”という設定上、当時から誰彼かまわず「オマエ」呼びをしていたわけだが、その「日本語の使い方を局所的に間違えるキャラクター」を引き立たせるために“正しい日本語を使う相手”のセイン(タメ口調ながら一応、「〜デスカ」といったような目上の立場)を配置する必要があった、と。事務所ぐるみのサバ読みだったとすれば、認めるわけにはいかなかったというところか。ボビー全盛のあの時代に“セインより年上だった!”というのはダメージがでかすぎる。

 結局、ボビー、セインの両者とも金銭トラブルで当時の事務所をやめることになったので(なんと皮肉な)今さら真相はわからないが、あれから十数年経って「世間もマスコミも見過ごしてきた」年齢詐称の答えがようやく明かされたわけだ。 

〈皿乃まる美・コラムニスト〉