池田純矢×納谷健「みんなセクシー、みんな妖艶」一緒にステージに立てる喜び
俳優・池田純矢が自ら劇作・演出を手がける『エン*ゲキ』シリーズの第4弾『絶唱サロメ』が10月に上演される。ロックバンドMICHAELのボーカルであり俳優としても多くの舞台で活躍する松岡充を主演に迎えた最新作は、オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』を題材にした古典×音楽×演劇の融合による“ライブ・エンターテイメント”。ミュージカルでも音楽劇でもない全く新しい世界観に挑む池田さんと『エン*ゲキ』初参加の納谷健さんに、今作の見どころやお互いについて語ってもらった。
神々しいセクシーさが見どころ
─今作が誕生した経緯は?
池田 構想の段階で、オスカー・ワイルドの『サロメ』に関しては魅力的な作品なんですけど短い話ですし、心情やストーリーが描かれずにセリフだけで進行していく戯曲なので、余白というか描かれていない部分が強いなっていう印象があって。それと別軸で音楽を使って演劇を作りたい。でもミュージカルにしたいわけじゃない。どうすれば成立するんだろうと考えていて。そこに僕が松岡さんと出会えたというタイミングがあって。
─松岡充さんの存在は大きいですか?
池田 そうですね。それでスッとひとつに収まったというか。僕が感じていた『サロメ』の余白って、もしかしたら歌だったら表現できるんじゃないか。僕が音楽でやろうとしていることって古典の言葉を使ったらできるんじゃないか。それを松岡充の俳優でもアーティストでもない異質で圧倒的な存在をうまく使えたとしたら……これって! ってひらめいたときに、ぐわぁ〜ってできあがったのが今回の作品です。
─週刊女性の読者にアピールするという意味で、いちばんの見どころは?
池田 難しいな〜。でもみんなセクシーっていうのはひとつかな(笑)。納谷くんもそうだし、みんな妖艶。
納谷 おお〜!
池田 全キャラクターが持っている部分ではあります。『サロメ』という題材を使ったからだと思いますけど、なかなか舞台上で見られないような、ある種、神々しいセクシーさが見られるんじゃないかと思います。
納谷 昨年、第1稿の台本をいただいて、読ませていただきましたけど、めちゃめちゃ面白くて。もしやらせていただけるなら、ぜひやらせてくださいって言いました。先日、最新稿を読み終えたとき、改めてこの人すごいなと。
「泥臭さ・男らしさ」がにじみ出てくる存在
─サロメ王女に振り回される、地下牢の門番の兵士・ナラボート役に納谷さんを選んだ理由は?
池田 ナラボートはイメージに合う俳優が浮かばなくて、けっこう難航していたんですね。どうしようか考えていたときに、信頼するスタッフから「ぜひ、納谷くんがいいんじゃないか」って言われて。ちょうど主演の舞台を上演されていたので見に行って。
納谷 『DIVE!!』ですよね。
池田 それで一も二もなく。顔がカッコいい男の子が好きなんで(笑)。
納谷 ハハハハハ!
池田 ナラボートはキラキラしていて愛されるキャラクターであってほしいというのもあって。もちろんそれだけじゃなくて、お芝居が達者であること。あとは泥臭さや男らしさが、お芝居や表現ではなく芯からにじみ出てくる人がいいなって思っていて。舞台を客席で見させていただいたときに、すごくそれを感じて。今回求めているものと合致したなと思いました。
納谷 もっと、がんばります! でも、初めてお会いしたときは、めちゃめちゃ緊張しました。「今日、池田純矢くんが来る」って聞いて、どういうモチベーションで芝居したらいいのか、力入れすぎてもいけないしとか、いろいろ考えて。
池田 ハハハハハ!
─サロメに振り回される男を演じる気持ちは?
納谷 振り回されているんですけど、振り回されているのを出さないように振る舞いつつ、でも、わがまま聞いちゃうとか。なんか男ってそういう部分もきっとあると思う。僕も、たぶん振り回されるタイプだと思うので(笑)。
池田 アハハハハ!
納谷 いろんな振り回され方だったり、考えるのが楽しい役だと思います。
ハードルを上げて見に来てほしい
─稽古に入る前に言っておきたいことはありますか?
池田 基本的には楽しくやっていただければという感じですね。僕は単純に楽しい稽古が好きなので、楽しくないときは、楽しくないって言ってほしいなとは思います。
納谷 わかりました!
─納谷さんから聞きたいことはありますか?
納谷 プライベートで聞きたいことは山ほどありますよ!
池田 それは今度飲みに行ったときに(笑)。
納谷 人間的な部分をいっぱい知りたい。幼少期から全部聞きたいです(笑)。
池田 アハハハハ!
─最後に読者へ意気込みとメッセージをお願いします。
納谷 はじめから面白いものだと思って、お客様がハードル上げて見に来てもらったほうが、僕たちも「どんと来い!」って感じで楽しめると思います。期待していてください。
池田 何か月も前にスケジュールを空けてチケット代を払って、当日わざわざ劇場に足を運んでくださるお客様に、最大限自分が思う本当に面白いものをお届けしたいと思っています。楽しみにしていてください。
エン*ゲキ#04『絶唱サロメ』生きることに嫌気がさしていた王女サロメ(豊原江理佳)は、ある晩、世にも美しい唱声を聴く。地下牢に幽閉されていた声の主・ヨカナーン(松岡充)は、唱う言葉が次々と現実になる不思議な力を持っていた。妖艶な魅力に取り憑かれるように惹かれていくサロメは、ヨカナーンの存在に生きる意味を見いだしていく。古典×音楽×演劇の新たな融合による究極のライブ・エンターテイメント。
東京公演:10月5日〜13日@紀伊國屋ホール/大阪公演:10月26日〜27日@サンケイホールブリーゼ【公式HP】www.enxgeki.com
なや・たける 1995年8月7日、大阪府出身。'15年に第4回劇団Patchオーディションで準グランプリを受賞し入団、俳優デビュー。今後は、「久馬君と石田君の演、第3回公演『生前葬(so)ng♪』」(東京:8/21、8/22、8/25)、音楽劇『ロード・エルメロイII世の事件簿-caae.剥離城アドラ-』(12/15〜千葉、東京、大阪、福岡)に出演。
いけだ・じゅんや 1992年10月27日、大阪府出身。'07年、俳優デビュー。ドラマ、舞台などで幅広く活躍。'15年には自ら脚本・演出を手がけた企画『エン*ゲキ』の公演をスタート。外部作品にも脚本を提供するなど若手演劇人として注目の存在に。現在、ドラマ『時空探偵おゆう 大江戸科学捜査』、アニメ『あんさんぶるスターズ!』に出演中。
取材・文/井ノ口裕子