職場におけるパワハラ問題について、法改正後も適切な対応が可能となるよう、必要なポイントを今一度整理しておく必要があります。今回は法改正案の内容と、確認すべき留意点について解説します。

 平成31年3月8日、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)の一部改正等を含む「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」が、国会に提出されました。

 この改正は、女性の職業生活における活躍の推進に関する一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大、情報公表の強化、セクシャルハラスメント等の防止対策の強化等に加え、パワーハラスメント防止のための事業主の雇用管理上の措置義務等の新設を内容としており、これまで、パワハラ(パワーハラスメント)に関する法規制が存在しなかったことから、報道等で世間の注目を集めているところです。

 パワハラについては、我が国の社会的問題として広く認知されている状況と思われます。これは、厚生労働省が平成30年6月27日に公表した「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によれば、民事上の個別紛争の相談件数25万3005件のうち、もっとも相談件数が多かったのが「いじめ・嫌がらせ」に関するものであり、平成24年度から6年連続となっています。件数も、年々増加しており、平成29年度は7万2067件(前年度から1.6%増)に上っていることからも読み取ることができます。

 職場におけるパワハラ問題について、企業でどのように対応すべきかについては、既に各社において様々な検討がなされていることと思われますが、法改正後も適切な対応が可能となるよう、必要なポイントを今一度整理しておく必要があるものと考えます。