トランプ米大統領、メキシコからの輸入品に対する関税上乗せを見送り

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トランプ米大統領がメキシコからの輸入品の関税上乗せを見送ったことが、自動車関連株をはじめ、株式市場にプラスに働きそうだ。その一方で、欧州情勢への懸念が広がるなか、ユーロ安の地合いが続きそう。ユーロ売り・米ドル買いが進展する可能性は小さくない。

どうなる? 今週の株式・為替マーケット!

東京株式市場 懸念材料の一つが払しょく

日経平均株価予想レンジ:2万円〜2万1500円

2019年6月7日(金)終値 2万884円71銭

今週の日経平均株価は、続伸が期待できそうだ。2万1000円台を回復し、下値を固められるかが注目される。

前週の日経平均株価は、週間ベースでは5週ぶりに反発した。日本銀行のETF(上場投資信託)買いが相場の下値を支えたことに加え、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が利下げの可能性を示唆したことで、米ニューヨーク株式市場のダウ平均株価が上昇したことも日経平均株価の支援材料となった。

今週の日経平均株価は、米国が10日から実施する予定だったメキシコからの輸入品に対する関税上乗せが無期限の延期となったことで、懸念材料の一つが払しょくされた。加えて、FRBが利下げを実施する可能性が出てきたことも、株式市場の支援材料となるだろう。

注目は、14日のメジャーSQ(特別清算指数=株価指数先物取引や株価指数オプション取引で 決済最終日までに反対売買がなされたかった場合の清算指数のこと)で、先物取引がらみで相場の波乱要因となる可能性もあるので注意したい。

東京外国為替市場 英国「合意なき離脱」の可能性は?

ドル・円予想レンジ:1ドル=107円00銭〜110円00銭

2019年6月7日(金)終値 1ドル=108円18銭

今週の外国為替市場でドル円相場は、もみあいか。

前週の外国為替市場でドル円相場は、ドル安・円高基調が続き、ドル弱含みの展開となった。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が利下げの可能性を示唆したことがドル売り材料となった。加えて、前週末に発表された米5月雇用統計が市場予想を下回ったこともドルの売り材料となった。

今週の外国為替市場でドル円相場は、米国が10日から実施予定するはずだったメキシコからの輸入品に対する関税上乗せが無期限の延期となったことで、リスク回避のドル売りが出る可能性は縮小した。

ただ、11日の米国の5月生産者物価指数、12日の5月消費者物価指数、14日の5月小売り売上高など、米国の経済指標が市場予想を下回る結果となれば、米国の利下げ観測が強まり、ドル売り材料となるため、結果が注目される。

さらに、欧州情勢にも注意が必要。英国では、党首を辞任したメイ首相の後任が注目される。最有力とされるジョンソン外相が選ばれた場合には、EU(欧州連合)からの合意なき離脱への警戒感が高まりそうだ。

経済指標は、国内では、10日に1〜3月期GDP(国内総生産)改定値、4月の経常収支、5月景気ウォッチャー調査、11日に5月工作機械受注、12日に4月機械受注、13日に4〜6月期法人企業景気予測調査、が予定されている。

米国では、11日に5月生産者物価指数、12日に5月消費者物価指数、14日に5月小売り売上高が発表される。また、14日にはEU経済・財務相理事会がルクセンブルクで開催される。

(鷲尾香一)