試合後は興奮気味にフラッシュインタビューに登場した久保。季節外れの寒さを吹き飛ばす鮮やかな一撃だった。写真:徳原隆元

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 “ラグビーの聖地”として知られる秩父宮。この地でサッカー競技が行われるのは1964年の東京五輪以来55年ぶり。そんな歴史的な一戦で勝負に蹴りを付けたのは、久保建英だった。
 
 4月10日に行なわれたルヴァンカップ・3節の鳥栖戦。ベンチスタートの久保は62分にナ・サンホに代わって交代でピッチに入る。得意のドリブルで膠着状態の攻撃にアクセントを付けると、最大の見せ場が終盤に訪れた。
 
 スコアレスで迎えた84分、右サイドの深い位置でFKを獲得。キッカーに名乗り出た久保は角度のない位置から左足でゴールを狙う。ライナー性のボールは見事にファーサイドに突き刺ささったのだ。
 
 このゴールが決勝点となり、ルヴァンカップでは開幕2連敗中だったFC東京に久保が勝点3をもたらした。試合後、久保がフラッシュインタビューに登場。興奮気味に応えると、ゴールについては太田のおかげだとした。「宏介君が赤いスパイクを履いた相手チームのところが空いてるよと。そこに強く蹴ったら何か起こるよと言われ、狙い通り蹴ったら入ったので宏介君に感謝します」
 
 確かに映像では、FKを蹴る直前、太田が手で口元を隠しながら、久保に何かアドバイスを送っているのが確認できる。おそらくは、そこで交わされたやり取りなのだろう。先輩の助言が決勝点に結び着いたというわけだ。
 
 試合についても、久保は「雨の中、気温も非常に低く、見ていて寒かったですけど、いいアップができたので自分のところで流れを変えられた」と手応えを得た。

 中3日で迎えるJ1・7節の鹿島戦に向けても意気込みを語り、「この勝ちをしっかりと日曜日の鹿島戦に繋げて、首位を奪還したいと思います」と力強く宣言。飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続ける久保は、週末のリーグ戦での活躍を誓った。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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