UUUM社長・鎌田が考える、YouTuberの“ダメな事例”とは?

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放送作家の高須光聖が、世の中をもっと面白くするためにゲストと空想し勝手に企画を提案していくTOKYO FMの番組「空想メディア」。1月27日(日)のゲストは前週に続き、ヒカキンなど人気YouTuberのマネジメント&プロデュースを手がける「UUUM」の代表取締役社長・鎌田和樹さん。UUUM所属YouTuberの魅力と、これからのYouTubeが挑戦していくことについて語ってくれました。

鎌田和樹さん(右)、高須光聖



高須:UUUMにはYouTuberが7,000人もいて、もちろんヒカキンというスターがいて、はじめしゃちょーやフィッシャーズもそうですね。いろんな人がいるじゃないですか。

鎌田:いろんな人がいます。

高須:ヒカキンの一番の魅力は何ですか?

鎌田:それは、視聴者さんから見た魅力ですかね?

高須:そうですね、YouTuberとしての。

鎌田:やっぱり、物事を分かりやすく伝えるところ。話が上手いんだと思います。YouTubeにおいての説明の仕方もそうですし、視聴者さんのリテラシーに合わせた話し方をする。いろんなYouTube(の動画)がありますけど、とにかく「HikakinTV」を観ることが……(YouTuberとしての)教科書と言うと、その言い方を本人は嫌がるかも知れないですけど、やっぱり分かりやすい。クライアントさんとお仕事をさせていただいたときにも、「ヒカキンさんは別格ですね」と言葉をいただく。

高須:説明が上手いというのが一番? 丁寧で分かりやすいから伝わりやすいんですね。

鎌田:本人にも言っていますけど、その背景にあるのは細かさ。例えばひとつのカットであるとか、誰も気にならないところでのこだわりが、すごく強かったりします。

高須:フィッシャーズは、ミュージシャン顔負けの人を集めて、キャーキャー言われる。僕、「そんなバカな! えぇー?」って最初思ったんですよ(笑)。

鎌田:あははは(笑)。

高須:「そんなとこまで来てんの、今?」と思って。そこまで彼らが人を集めて、足をYouTubeに向かすことができる存在になっているというのは、なかなかじゃないですか。

鎌田:そうですね。僕らがイベントをやり始めたのもこの何年間かで、最初は握手会みたいなことを。何をやればいいんだろう?と思いながら、やっと今、歌まで来た。それも本人たちがやりたいと言っていたところから、気がつけばどんどんできていったんです。ミュージックビデオは、自分たちで勝手に作りますしね。地上波の音楽番組にも呼んでもらったりして……「そんな日が来るんだね〜」と。

高須:「HEY!HEY!NEO!」にフィッシャーズが出たとき、僕も思いましたよ。でもここからですよね。自分のエネルギーだけで突っ走れたところから……ここから試練が始まるなぁと思うんですよね。

鎌田:いやぁ……おっしゃる通りで。

高須:次から次へと出てくるしね。テレビ番組だったら終わりがあるんですけど、(YouTubeは)終われないですからね。

鎌田:YouTuberというものをどう捉えるかですね。チャンネルというメディアを持っていますし、いちインフルエンサーとしての彼らもいる。もしかしたら「引退」というよりは、次に何かをプロデュースするとか、やり方は変えていくんでしょうけど……おっしゃる通り、終わりはないです。

高須:その終わりのない大変さが、来ると思うんですよね。

鎌田:×7,000人分の(笑)。

高須:もちろん、YouTubeというもの自体もどうなっていくか分からないし、動画自体もどう変化していくか分かりませんけど。

鎌田:まさしく、ヒカキンが今年30歳になるんです。僕が出会った頃は20代前半だったので、フェーズが変わっていくんですね。YouTubeは、実は観ている視聴者は属性が変わらなくて、視聴者の年齢が上がれば、違うクリエイターを渡り歩いていく。なので、YouTuber本人たちは、ある一定層をめがけていればいいんですが、そうはいっても彼らも変化したい。そのバランスが非常に難しいんです。

高須:つらいですよね。

鎌田:YouTubeのファン、視聴者の方って、僕はかなりあったかいと思っていて、クリエイターが休みたいと言ったら休んでいいと言ってくれるんです。テレビなら、ゴールデンで再生数が少ないコンテンツを流すと叩かれると思うんですが、YouTubeは自分が好きにできる放送局。10人しか観ていないコンテンツが悪いかというと、違う。そういう許され方はすると思いますね。

高須:なるほど、なるほど。

鎌田:よく、「(YouTuberの)ダメな事例は何ですか?」と聞かれますが、片足だけ突っ込んでやっている人は……。YouTubeに限らずですけど。

高須:分かるからね、腰かけでやっているのが。

鎌田:そういう態度だと、視聴者さんも振り向かない。

高須:分かるわ〜、エネルギーを感じないんですよね。新しく試みていることはあるんですか?

鎌田:僕らでいうと、自分が好きだからゴルフのYouTubeチャンネルを始めたとか。けっこう年配の方が観てくださっていて、ニーズはあるなと。フォーマットとしては、ちょっとずつリッチコンテンツを求め始める方もいる。扱う商品が高額になるのもリッチだし、動画のフォーマットでシネマカメラを使ってみるときもあります。去年の夏くらいに、水溜りボンドというクリエイターが、ドラマのようなものを作りました。テレビの地上波のドラマとは違うんですけど、「YouTuberとしてはクオリティが高いね」とか、草なぎ剛さんなどにも出ていただいたので、「出演者豪華だね」と言ってもらえたり。少しずつチャレンジはしてますね。

高須:うんうん。

鎌田:僕らは“下からいくドラマ”があると思っていて。テレビのドラマをネットに持ってきたら、どうなるか分からないですけど、YouTuberが普段の場所から少しずつ背伸びをし続けることが、心地いいんじゃないかと。

高須:分かります。ほんとそうですよね。手前味噌ですけど、「ガキの使いやあらへんで!」とかは、本来は深夜番組なんですよ。深夜番組が、年末のスペシャルになっちゃいけないんです。深夜なのに「えー、こんな人がわざわざ出るの!?」を、30〜40分ずつ1ヵ月やれるほうが、僕は面白いと思う。

鎌田:それはそうですね。

高須:日テレがCMをガンガンうって、「こんなに面白いんですよ」とやり出すと、どんどんその目線になってくる。門構えが違うんです。深夜番組の門構えとして観ているほうが、くだらないんですよ多分。

鎌田:入口のハードルが、相当違ってますよね。

高須:そうなんですよ。ペラッペラのセットの前でやっていたのに、すごいお金をかけて、すごい人たちが出るのが当たり前になっている。そういうことじゃないんですよね。

鎌田:用意されたハードルを、超えられるかどうか微妙なときは楽しいですけど、最初から高すぎるのは嫌ですよね。

高須:嬉しいんですよ、嬉しいんですけど……本当は深夜くらいでやってるほうが楽しいだろうなぁと思いますよね。

「今後はUUUMで映像制作もやっていきたい」という鎌田さんと、「テレビでできないことを面白くやれる動画コンテンツに興味がある」と語った高須。2人のさらなる挑戦が楽しみです。


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【番組情報】
タイトル:空想メディア
放送日時:毎週日曜 25:00〜25:29
パーソナリティ:高須光聖
番組HP:
https://www.facebook.com/QUUSOOMEDIA/