大谷翔平、永井謙佑【写真:Getty Images】

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二刀流の大谷は俊足ぶりも米屈指、一塁への到達時速は32.26キロを計測

 米大リーグ・エンゼルス大谷翔平投手は投打に渡る活躍でアメリカにセンセーションを巻き起こしている。ベーブ・ルースを彷彿とさせる「二刀流」だが、米国では左足首の故障を機に第3の武器もクローズアップされている。

 それは圧倒的なスピードを生かした走塁だ。4月27日(日本時間28日)のヤンキース戦の走塁中に左足首を捻挫した大谷だが、マイク・ソーシア監督は常々「代走でも考えている」と語るほど、走力も高く評価している。

 同戦で2回の第1打席で右翼席にライナー性で突き刺す本塁打を放ったが、続く第2打席はバットを折りながらの二ゴロに。一塁まで全力疾走した際、一塁手の足を避けるためにベースの隅を踏んだところで、左足首を軽く捻挫してしまった。

 MLB公式サイトでは、このシーンをデータで分析。一塁までの到達スピードは秒速29.4フィート(約8.96メートル)だったとしている。時速に換算すれば32.26キロとなるが、MLBのデータ解析システム「スタットキャスト」によると、昨季の一塁到達の最速記録は、ア・リーグMVPに輝いたアストロズのホセ・アルトゥーベ内野手で、9月24日のエンゼルス戦の5回にセーフティスクイズを決めた際に、時速32.8キロだった。

サッカー界のスピードスターも太鼓判「足の出し方が巧い。軸、重心がぶれない」

 大谷は昨季のMLB最速、アルトゥーベと遜色ないスピードで走り抜けていたことになる。記事では、この大谷の走りを「電撃的なスピード」と評価していた。

 二刀流のスーパースターの“第3の武器”であるスピードについて、日本サッカー界最速の男も注目した。

「自分の場合は、つま先で“地面を噛む”ようなイメージで走ります。大谷選手の場合は違いますね。まず、脚の出し方が巧いと感じました。前に前にと脚が出ている。それでいて、止まった状態からもグイッと一歩が出てくる。そういうところは純粋に、身体能力の高さを感じました。それに、走っている間も軸と重心がぶれない。体幹も鍛えられているイメージです。一歩一歩のストライドも長いですね」

 そう語ったのは、サッカーJ1、FC東京FW永井謙佑だった。圧倒的な加速力を誇るスピードスターは、「100メートル走は測ったことありませんが、10秒台は出せると思いますよ」と自負。そんな韋駄天ストライカーが、大谷の走りを絶賛した。

 スムーズに脚が前に出る滑らかなランニングのフォーム。強烈な推進力。横にぶれずに無駄のない走りを支える体幹。そして、身長193センチという恵まれたサイズ。この4点に注目し、走りを武器にするFWも舌を巻いた。

Jリーグ屈指の快速男は底知れぬポテンシャルを絶賛

 日本ハム時代と、エンゼルスでの走塁を、動画でチェックした永井は、大谷の走塁について、底知れぬポテンシャルを感じとっている。

「正直、本気でダッシュしているように見えない。脚の運び方という点では、何歩で(塁間を)駆け抜ければいいのかを理解していて、それを意識して走っているのだと感じた。そういう細かいところにこだわっているのでしょうね」

 映像では全力疾走しているように見えるが、まだまだ余力を残しているとみている。大谷が、メジャーで見せる走塁について、あくまで各塁間90フィート(約27.4メートル)の距離に最適化した歩幅で疾走しており、永井は「本気を出せばもっと速いと思う」と分析。大谷は日本ハム時代に一塁までわずか14歩で走り抜けてきた。その日本人離れしたストライドには、「あの足の長さは反則ですね」と目を丸くしていた。

 サッカー界屈指の韋駄天も唸った、大谷の底知れぬスピード。左足首の故障という不運に見舞われたが、圧巻の走力にもさらなる注目が集まりそうだ。

(馬場康平 / Kohei Baba)(THE ANSWER編集部)