11日に開催される名古屋ウィメンズマラソン。2020年東京五輪の代表決定レースとなるマラソングランドチャンピオンシップへの出場権も懸かる大事なレースだ。

東京への第一歩を踏み出す名古屋ウィメンズマラソンで注目される一人が、2015年に世界選手権の代表にもなりながら、今回がそのとき以来2年半ぶりのマラソンとなる前田彩里(26)だ。

9日放送、フジテレビ「THE NEWS α」では、前田の東京五輪に懸ける思いを伝えた。

2015年3月の名古屋ウィメンズマラソンで、15キロの給水地点で転倒し、流血しながらも日本人トプ、当時歴代8位の記録でゴールした前田。一躍、リオデジャネイロ五輪の代表候補に名乗りをあげた。

だが、初めて日の丸を背負った北京での世界選手権では13位と惨敗。さらに左足首を負傷してしまう。選手権前の合宿で痛めたが、「初めての代表だったので、そこで少し無理をしてしまった」。

その代償は大きかった。結局、リオ五輪の選考レースを断念することになり、左足首を手術。1年以上のリハビリ生活を強いられ、引退も考えた。

前田を支えたのが、父親との約束だ。実業団で選手・監督を務めた節夫さん(享年54)は、2013年にがんで亡くなった。前田は成人祝いで父から贈られた指輪を、レースのときもつけている。

ずっとしゃべられない状態だった節夫さんだが、亡くなる寸前に前田に「オリンピックに行ってほしい」と打ち明けたという。前田は「いつもやめたくなったときにその言葉を思い出す」とコメント。「東京(五輪)でお父さんとの約束を果たせるのが一番理想です」と、笑顔で意気込みを語った。