by Kelly Sikkema

日本玩具協会の統計データによると、日本国内の玩具市場の規模は8031億円で、前年比で微増しています。しかし、子どもの頃によく行った町の小さなおもちゃ屋さんがつぶれてしまったというのはよくある話で、アメリカでは2018年1月に180店舗ものトイザらスが閉店することがアナウンスされています。そんなおもちゃ屋の将来について、有名玩具の成り立ちに焦点を当てたドキュメンタリー番組「The Toys That Made Us」のプロデューサーであるブライアン・ヴォルク・ウェイス氏に尋ねたところ、予想外に楽観的な見解を持っていることがわかりました。

Toys That Made Us creator explains why he’s optimistic about toy stores - Polygon

https://www.polygon.com/2018/1/25/16931628/toy-stores-closing-brian-volk-weiss

ウェイス氏はゲーム系メディアのPolygonに対して、「地域社会がおもちゃ屋を持たないと、大変恐ろしいことになるだろう」と語っています。なぜそのようなことになるのかというと、「私のオフィスの近くや、家の近くにはトイザらスがあります。私は何の宗教も信仰していませんが、トイザらスを寺院や教会やモスクのように思っています。なぜなら、トイザらスは私にとって最も平和な場所だからです。私は悪い一日を過ごしたときなどに、トイザらスへ行き、店内を見て回ることで平和な気持ちになれます。そして、その度に私は何かしらのおもちゃを買っています。よって、もしも自宅の近くとオフィスの近くにあるトイザらスの片方もしくは両方がつぶれてしまったら、私の心は張り裂けてしまうでしょう」とウェイス氏は述べています。

トイザらスが店舗数を減らす理由がインターネット販売やウォルマートなどの競合サービスとの競争激化によるものかどうかは定かではありません。トイザらスが財政的な問題を抱えている理由について、Bloombergはレバレッジド・バイアウトに関する興味深い見方をしていますが、現実にはおもちゃ屋の運営にお金が必要であるということは明らかであり、多くの課題に直面していると言えます。



by Daniel Cheung

インターネット販売の脅威を受けてきたのはトイザらスのようなおもちゃ屋のみではありません。Amazonの台頭は書店を中心とした実店舗に大きな影響を与えており、近年は書籍分野のみならず食料雑貨品事業などにも参入しました。しかし、電子書籍の隆盛により多くの書店が閉店に追い込まれていった一方で、一部の独立系書店はこれまでとは違うアプローチを遂げることで復活を遂げています。

ウェイス氏はインターネット販売やオンライントレンドなどから顧客の購入行動を追跡し、実際のおもちゃ屋に並べる商品を細かく管理する手法が「未来の玩具店にとっての答えになるかもしれない」と考えています。小規模店舗が優れた在庫管理テクノロジーを導入することで、おもちゃ屋をより効果的に運営可能になるとみており、「2年後にはローグワンの同じキャラクターが2つも商品棚に並んでいるということはなくなるかもしれません」と未来のおもちゃ屋のあるべき姿について語っています。

また、特に人口密度の高い都市部では商品総数が少なくても豊富な種類を揃えている小規模なおもちゃ屋が地域で繁盛していることがあります。おもちゃ屋で取り扱われているようなおもちゃは、購入前に実際に触って試したいと思う類いの製品であり、見るだけでも楽しい種類のものです。ウェイス氏は、「見たり遊んだり触ったりせずにおもちゃをオンライン上で買うのは奇妙な購入方法だよ」と語っています。



by Nong Vang

トイザらスが店舗数を減らしているように、玩具ビジネスは大きく変化してきています。幼少期に遊んでいたおもちゃを大人が購入するようになってきており、多くの都市でビンテージもののおもちゃを取り扱う店舗が増えてきています。また、Amazonのようなオンラインストアや、eBayのようなコレクター向けの市場は、玩具業界にとって悪影響を及ぼすだけのものではありません。「オンラインストアの台頭による悪い点は、多くの人々が狩りの感覚を失っていること、つまりはおもちゃを見つけることが楽しいことだという気持ちを忘れてしまっていることです。しかし、目当てのおもちゃを見つけられない場合、失望したり、最悪は子どもたちがガッカリしてしまったりするわけですが、eBayやAmazonの登場でそういった機会が失われつつあることは良いことです」とウェイス氏。実際、ウェイス氏は複数のおもちゃ屋を回ってお目当てのルーク・スカイウォーカーのおもちゃを見つけることができた際の喜びについて語っています。

おもちゃ屋の将来についてウェイス氏は、「50年、100年後について聞いてくることがありますが……それについてはわかりません。しかし、20年後はまだ私たちはレンガとモルタルでできたおもちゃ屋に通っているだろうと確信しています」と、近い将来におもちゃ屋がどうにかなってしまうことはないと考えていることを明かしています。