エンゼルスへの入団が決まった大谷翔平【写真:Getty Images】

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米「ファンタジーベースボール」が決断、「投手・大谷」「野手・大谷」が存在することに

 エンゼルスへの入団が決まった大谷翔平投手が、米国の野球シミュレーションゲームの歴史も変えることになりそうだ。実在の野球選手でチームを構成し、実際のメジャーリーグの試合での成績をポイント化して総合点を競う「ファンタジーベースボール」で、米ヤフーが大谷を「投手」「野手」の2人作るという結論に至ったと、米野球専門雑誌「ベースボール・アメリカ」が報じている。

「ファンタジーベースボール」は米国での多くの人がプレーする超人気シミュレーションゲーム。大谷のメジャー挑戦が決まり、どのようにポイントを反映させるのか、注目が集まっていた。大谷を投手として扱うのか、野手として扱うのか。前代未聞の二刀流プレーヤーの能力をゲーム上でも最大限活かすための議論が続けられていた。

 同誌は「Yahoo!はオオタニに関して選択を行った」のとのタイトルで記事を掲載。その中で、コンテンツマネージャーとソフトウェア・エンジニアが大谷の扱いをどのようにするかで決断に至ったことを伝えている。「それは、オオタニを2人作るということである」。どういうことか。

「もしYahoo!リーグでオオタニの投打両面のスタッツを望むなら、彼を2度ドラフトしなければならない。まず投手として、そして再び打者として」

 つまり、ゲーム上には「投手・大谷」「野手・大谷」の2人が存在することになり、大谷1人を持っているからといって、投手と野手の両方で起用できることにはならない。これは、今年のドラフトでレイズから指名されて「二刀流」として話題となったブレンダン・マッケイらにも適応されることになるという。

 記事では、2人のオオタニを作るという解決策を見出す以前に、過去のスター選手をどう扱っていくかに関して様々なアイデアを交わしてきたことにも言及。その上で「1つの解決策としては、(打つことと投げることの)切り替えを何度も繰り返すことで、オオタニに打者と投手の両方で資格を与えるということだった。そこで問題となるのが、同時に投打両方のスタッツを積み上げていくことができないということだった」。ユーザーが大谷を投手として起用した場合は、投手としての成績しか反映されず、野手の成績を積み上げることは出来ない。システムが大谷の能力に追いついていないというのが現状だ。

投手・大谷が打たれても、打者・大谷がHRを打てば「それなりにがっかりするだけ」!?

 そこで、2人の大谷を作るという結論に達したという。それならば、大谷がDHを解除して試合に出た場合、「投手・大谷」と「野手・大谷」を同時に起用することで、両方の成績が反映されることになる。コンテンツマネージャーのガイ・レイク氏は同誌の取材に対して「ユーザーとしての経験がある立場から、この考えに反対した人は20人の関係者のうちごくわずかである。私もだが、15〜16人はこの意見に賛同していると思う。なぜかって? ものすごく素晴らしいことだからさ。投手が先発して、翌日とは言わないまでもその翌々日くらいに(融通の利く)投入しやすいポジションかあるいは外野にその選手を入れられるんだ。格別に素晴らしいことだ」と話している。

 大谷を投手か野手のどちらかに限定し、片方の成績を無視するという選択肢もあったという。ただ、それでは「二刀流」の魅力が失われ、ファンタジーと現実世界の両方の観点から見た大谷の計り知れない価値が損なわてしまう、と記事では説明。これは却下となったようだ。

 同誌は、ユーザーが大谷をどのように配置するか日常的に悩む必要がなくなったことにも言及。大谷がもし先発投手として打たれたても、その試合で野手としてホームランを何本か打っていれば、投手としての成績に「それなりにがっかりするだけだ」とも指摘。レイク氏が「オオタニの全ての価値を彼が(2人ではなく)1人の選手として包括することができる、と言えたら素晴らしかったんだが。それが容易いことなら、そうしていただろう。ここははっきりしておこう:それは簡単なことではない。だけど、いくつかの不完全な選択肢が組み合わさって、ベストなものを編み出したんだ」と話したことも紹介している。

 日本でも、漫画をも超越するような活躍を見せてきた大谷の存在は、ゲーム制作会社などを困らせてきた。米国の「ファンタジーベースボール」でもとりあえずは解決策が導き出されたが、この先の活躍で、想像を超える事態が発生しても不思議ではない。(Full-Count編集部)