東大に受かる人がやっている「塾&予備校」の使い方
『現役東大生が教える「ゲーム式」暗記術』(ダイヤモンド社)の著者・西岡壱誠氏と『現役東大生が伝えたい やってはいけない勉強法』(学研プラス)の著者・綱島将人氏による現役東大生対談第4弾。
今回の対談テーマは、「塾&予備校の使い方」。塾は、自学や学校での学習とどう使い分けたらよいのだろうか、また、適切な選び方はあるのだろうか。東大生のお二人に体験に基づいたお話を伺いました。
塾&予備校と、学校はこう使い分けろ!
――学校とあわせて、塾や予備校に通っている高校生は多いと思います。お二人は、「学校での学び」と「塾での学び」をどう使い分けていましたか。
綱島 塾や予備校に行き、学校の授業をおろそかにする生徒もいますが、私は学校も充分に活用していくべきだと思っています。学校での学びは、基礎的なインプットに大いに役に立ちます。数学の教科書的な例題のインプットだったり、古典文法の基本的な法則を覚えたりするのは、自学だけではやりにくい。「予備校や塾では学校とは違う画期的な覚え方を教えてくれるはず!」と思っている方もいますが、そんなことはありません。基本的なインプットは学校で済ませたほうが効率的です。
一方で、塾や予備校の強みは、どのように問題を解けばよいか演習をしてくれることです。しかし、どんなに演習を課されても、学習習慣がついていなかったり基礎が抜けていたりしては、学力は伸びません。「予備校に入れば安心」という保護者の方もいますが、それは間違いでしょう。大切なことは、高校生自身がいかに目的意識を持って学べるかです。
「教科書的な情報をインプットする学校」、「新しい解き方を教えてもらう演習の場が塾や予備校」、「アウトプットするのは自学の問題演習」と、自分で意義づけを行い、使い分けることがお勧めです。
西岡 私は高校3年生で、予備校に通い始めたのですが、まさに予備校で勉強していれば成績が上がるものだと勘違いしていました。「これだけ頑張っているんだから受かる」と幻想を抱いていたのです。目的を持って勉強をしなければ、いくら塾に行っても成績は上がりません。
一方で、「俺は塾に一切行かない! このメソッドで受かる!」と、自分のやり方に固執している人も良い結果にはなりません。大切なことは、自分の立ち位置を把握したうえで、必要な選択肢の1つとして塾や予備校を選んでいくことだと思います。
塾に行かなくても東大に受かる?
――塾や予備校に行かなくても、東大や難関大学に受かることはできるのでしょうか。
西岡 はい、できると思います。問題は、自分の周りに同じ大学を目指す人がいない状況になってしまうということですね。受験勉強は、「団体戦」の要素が強いと私は思っています。自分と同じ目標を持っているメンバーが集まって勉強することで、高め合うことができるのです。短期講習に通ったりSNSを通じたりして、同じ目標を目指す仲間を見つけるという代替方法はあるかもしれませんね。
綱島 西岡さんの言うとおり、合格することはできると思います。大切なことは、より合格率が高まる方法を採るということです。予備校に行けば、一流の講師が一流のメソッドを教えてくれます。そういう機会は大いに活用していくべきでしょう。今の時代であれば、「スタディサプリ」(リクルート)のように月額980円で講義を聴講できるサービスもありますから、効率のよいすべを選択することが重要です。
西岡 浪人生の場合は、塾や予備校が“ペースメーカー”として有効な場合もあります。夜勉強し、朝起きて予備校に通うというペースをつくってくれます。宅浪生のなかには、生活リズムを崩してしまう人もいるので、生活時間の管理のためでも、塾や予備校に行く意味はあるかもしれません。
綱島 私もペースメイクや勉強管理は重要だと考え、そのようなコンセプトの塾を運営しています。学習の質の前に、勉強を支える学習習慣づくりが重要な場合も多いですね。
塾&予備校に通いはじめる適切なタイミングは?
――塾や予備校に通いはじめる最適なタイミングはあるのでしょうか。
綱島 私は、高校1年生などの早い時期から通うことはお勧めしません。この時期は、学校できちんとインプットをすべき期間ですし、多忙な部活動と塾の勉強ですべてが中途半端になる懸念もあります。まずは、学校をベースとしながら、自学する習慣をつけていくことが高校生活序盤では重要だと考えています。
西岡 一理ありますね。ただ、私は早い段階で塾に行くことに対して、必ずしも反対ではありません。早期から塾に入れば、塾の先生やチューターと仲よくなれ、情報を得ることができます。また、学校以外のライバルを見ることも刺激になります。短期講習だけでもよいので、早いうちから塾をのぞいてみてもよいかもしれません。