手倉森コーチの復帰は“もしも”の時の布石?とセルジオ越後「イラク戦に負けたらハリルホジッチは解任される」
早くも正念場だね。
日本代表がロシアW杯アジア最終予選の2連戦(ホームのイラク戦、アウェーのオーストラリア戦)を迎える。
最終予選は9月に開幕し、日本はこれまでUAE、タイと対戦して1勝1敗。苦しいスタートを切っている。W杯予選を勝ち抜くための“鉄則”は、有利なホームで勝ち点3を積み重ねること。その意味で、ホームでのUAE戦を落としたのは本当に痛い。
だから、今回は連勝して勝ち点6を奪いたいところ。厳しいノルマかもしれないけど、すでにホームでひとつ負けているだけに、アウェーのオーストラリア戦に勝って連勝することで、余裕を取り戻したい。
そのためにも、まずはホーム開催のイラク戦に集中して、しっかり勝ち点3を奪うことが大事。オーストラリア戦のことは、それが終わってから考えればいい。
イラクは開幕2連敗で、日本以上に苦しい状況。アウェーとはいえ、背水の陣で臨んでくるはず。一方の日本にしても、ホームでイラクにも勝てないようならW杯出場など望むべくもない。万が一、この試合も落としたら、ハリルホジッチ監督は解任されるんじゃないかな。
9月の2連戦後、リオ五輪代表の監督だった手倉森氏がコーチとして復帰しているけど、これは日本サッカー協会が“もしも”の時のために先手を打ったように思える。いずれにしても、負けたほうが脱落となるサバイバルマッチだね。
イラクについては、前節のサウジアラビア戦(1−2)を見たけど、フィジカルが強く、ボール際も荒っぽい。攻撃陣は個々に突破力があり、特に右サイドからの崩しが目立っていた。セットプレーも高さがある。日本との試合では、ある程度守ってカウンターを狙ってくるだろうけど、そのカウンターはUAEよりもスピードがある。
ただ、それでも“強い”という印象はない。駆け引きがヘタで、サウジ戦では90分間のペース配分がうまくできずに、後半途中から足が止まって逆転負けを喫した。日本にとっては勝たなければいけない相手だよ。
ここまでのグループの結果を見れば、やはり力的にはオーストラリアが頭ひとつ抜けている。日本はUAE、サウジ、イラクの中東3ヵ国と2位通過を争うことになる。選手が所属するクラブの格では、日本がその3ヵ国を上回るけど、主力となる海外組が所属クラブで試合に出場できていない状況を考えれば、力の差は縮まってしまう。
だからといって、好調な選手を抜擢(ばってき)しようにも、試合までの準備期間が少ないなかで、これまで固定化していたメンバーを大幅に入れ替えたりすれば混乱が起きかねない。そうした難しい状況でハリルホジッチ監督がどんな采配を見せるかに注目したい。
日本はアジアでならほとんどの相手に主導権を握れる。でも、点が取れない。きれいにパスをつなごうとするサッカーが染み込んでいて、そこから抜け出せなくなっているからだ。
状況に応じて、前が空いたらミドルシュートを打つとか、体の大きな選手を入れて、シンプルにクロスを上げ、高さを生かすとか、臨機応変な攻撃ができるかどうか。そして何よりも選手たちには、戦う姿勢を前面に出して、見ている人に気持ちが伝わるような泥くさいプレーを期待したい。
(構成/渡辺達也)