ロシアワールドカップ・最終予選のUAE戦とタイ戦のメンバーを発表したハリルホジッチ監督。本田、香川ら通常と変わらない顔ぶれが並んだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 ロシアワールドカップ・アジア最終予選のUAE戦とタイ戦のメンバーが発表されたね。率直に言うと予想通りの顔ぶれだったという感想だ。結局、先発メンバーは変わらいないだろうし、一見サプライズに見える何人かの選手もベンチを温めるだけで終わるんじゃないかな。
 
 先日までリオで戦っていたオリンピック代表からあまり選ばれなかったのも残念だった。大島、浅野は呼ばれたけど、出場チャンスは限りなく少ない。浅野はアーセナルに移籍したけど、他クラブにレンタルされるはずで、行き先が決まっていない。ピッチ外のゴタゴタに巻き込まれて、コンディションが良いとは言えないよ。
 
 それに6月のキリンカップの時にも言ったけど、代表は人材を育てるところではない。大島に関しては悪い選手ではないけど、チームメイトの(中村)憲剛と天秤にかけたら、僕だったら憲剛を選択するよ。フロンターレでどっちがチームの中心かと考えたらやっぱり憲剛なんだ。
 
 代わり映えのないメンバーになったのは、要するにハリルホジッチ監督には選択肢がなかったということ。結局は本田、香川らに代わる選手が育っておらず、日本の未来に不安を感じる構成となった。
 
 本田、香川にしてもミランとドルトムントで、確固たる地位を築けているわけではない。日本のメディアはふたりを大々的に取り上げるけど、興業的な評価と本来の実力は全然違うよ。
 
 先日のキリンカップで試された小林(祐希)らも今回は選ばれなかった。ブルガリア戦とボスニア・ヘルツェゴビナ戦はなんの意味があったんだろうと感じるね。
 
 久々にメンバー入りした太田も含めて、ヨーロッパ組は所属チームでレギュラーを確保できていない選手が多い。そういう意味で多くの選手がコンディションに不安を抱えているのはこれまでの状況と変わらないよ。でも、ヨーロッパ組に頼らざるを得ないのが現実で、ハリルホジッチ監督はJリーグでプレーする選手を信用できていないんじゃないかな。
 
(山口)蛍も今年6月にドイツからJリーグに復帰した際には、ハリルホジッチ監督は否定的なコメントを残したけど、やっぱりメンバーに戻した。負傷明けの武藤だって状態がどうなのか把握できていない部分があるはず。それなのに、彼らに代わる国内の選手がいないんだ。
 
 Jリーグで結果を残して、招集されたのは小林(悠)だけじゃないかな。でも彼だって代表では本田とポジションが重なるわけで、起用されるかは疑問が残る。
 
 人材不足が起きているのは、ハリルホジッチ監督の責任ではなく、日本サッカー界が宿題を先延ばしにしてきたためだ。国内の強化をないがしろにし、活きの良い若手を育てることができなかった。
 
 北京世代の本田や長友が中心になって最終予選で結果を残せなかったらその後はどうなるんだろうね。Jリーグのレベルの低下や各クラブの資金不足など様々なファクターはあるけど、若手育成は真剣に考えなくてはいけない。
 
 リオオリンピックにしたって、日本より平均年齢の低いチームはたくさんあった。日本では23歳は若いと言われるけど、世界ではそんなことはない。23歳の段階で思ったような活躍ができていないと、なかなか厳しいよ。
 
 ハリルホジッチ監督は代表チームではいわゆるシェフとしての役割だけど、食材が不足しているんだからどうしようもない。少ない選手を集めて特別なメニューを作っても良いけど、日本には今後、厳しい状況が待っているのは間違いないよ。
 
 最終予選の戦いに関しては、初戦のUAE戦は引き分けすら許されないよ。UAEは第2戦をホームでオーストラリアと戦う。オーストラリアは強敵だけど、UAEにはホームで戦えるアドバンテージがある。その意味でも初戦でUAEに勝点を与えたら、勢いに乗せてしまうことになるんだ。