早稲田摂陵vs開明
試合開始からわずか5球、一塁側スタンドでは早くも早稲田摂陵の得点時の応援歌、「紺碧の空」が響いていた。
初回、1番・岡田勇将（3年）が1ボール1ストライクからセンターオーバーのスリーベースヒットを放つと、2番・森山拓海（3年）は2球目をレフト前に弾き返し1点を先制。さらに森山は二盗、三盗を続けざまに決めると梁立樹（1年）が投じた牽制球を投球と勘違いしたのかサード・中田勇宇（2年）がボールから目を切ってしまい、ボールがファールゾーンを転がる間に森山も生還。
1回戦で12得点を挙げた勢いそのままに2安打で2点を奪うと2回にも藤岡侑作（1年）と岡田の適時打で2点を追加しリードを広げた。
3回には2ストライクに追い込まれた4番・藤原匠伍（3年）の軽打と5番・鶴田凌磨（3年）の死球で走者をためると6番・細谷綾寿（2年）も追い込まれたカウントから上手く合わせてライト前へタイムリー。
5点目を挙げると細谷の一打を皮切りに怒涛の6連打。3番・田所佑樹（3年）はセンターフライに倒れるが次の打者はこの回先頭だった藤原匠。一死しか与えずに打者一巡の攻撃を見せ、結局この回一挙11失点。序盤で試合を決定づけた。
初回と2回、いずれも最初の打者2人に安打を許しながらも後続を抑え、ビッグイニングを作らなかった開明先発の梁だが悔やまれるイニングとなってしまった。
4回にも二死二塁とチャンスを作った早稲田摂陵は代打の長岡一平（3年）が打席へ。イニング間にも素振りを行うなど準備していた長岡は初球から積極的にスイング。センターフライに倒れこの回は無得点だったが序盤で大量援護を受けた早稲田摂陵先発の平大樹（3年）は4回を投げて1安打無失点。
特にワインドアップからテイクバックまでは本格派右腕の雰囲気漂わせ、流れるような綺麗なフォームからストライクを投げ込み開明打線をほぼ完ぺきに抑え込んだ。
4回を終えて15点差がついていたが早稲田摂陵は開明の守備の乱れにもつけこみ5回にも7点を追加。代走で出場し二盗、三盗を続けざまに決めた吉田悠空（3年）に打席が回ってくるほどの攻撃で計22安打22得点。
最後は左腕の白木大輔（3年）が2つの三振を奪う好投を見せ3人でピシャリ。完封リレーを完成させた。
試合終了後、ホームベース前で整列していても校歌が流れず、アカペラで歌うことになるというトラブルはあったものの試合内容としては初回に先制するとそのまま主導権を渡すことなく押し切った。音響付きの勝利の歌はまたの機会に。この夏、何度でも舞洲ベースボールスタジアムに紺碧の空と校歌を響かせてみせる。
（文＝小中 翔太）
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