藤田ニコルも!新たに有権者となる18歳“さとり世代”の主張
「大人は若者を認めていない。若者はどうせ投票にいかないだろうと思ってるけど、みんな投票にいって、そういう大人を見返しちゃおう」と語ったのは、おバカキャラで人気のモデル・藤田ニコル(18)。6月12日に大阪で行われた「ULTRA VOTE PROJECT」でPR大使を務め、熱く観客に呼びかけた。
7月の参院選から、新たに選挙権を得る18〜19歳の若者たち。その数、約240万人。全人口の有権者比率のわずか2%と少なく、若者の投票率も低いため「あまり影響を与えないのでは?」といわれるが、はたしてそうなのか。一見、政治には無関心に見える“マイルドヤンキー”ほかイマドキの若者たちと、国会議事堂前でデモをしている18歳に、意見を聞いてみた。すると、今の政治や社会に対する不満や怒りが次々に出てきた。
「マスゾエさんみたいに、税金を好き勝手に使ってる議員がいるのに、なんで私たち庶民が、こんなに消費税を搾り取られないといけないの。議員は、そんなにエライの?」
そう話すのは、居酒屋チェーン店で働く18歳女性。同僚の彼もバッサリ今の政治を斬る。
「結局、政治はパフォーマンス。育休してるのをウリにしていた男性議員がいたけど、いくらあんなパフォーマンスをしたって一般のサラリーマンは育休を取りやすくはなりません。過労死も減らないし」
若者が集う渋谷のセンター街では、日本のコネ社会を鋭く突く声も。
「日本はコネ社会だから富が再分配されずに一局集中してるんです。政治も世襲ばかりで、仲間内だけでお金が回っているような気がする。いっぽうでは貧困だからって、高校中退して働いて。それでも借金を返せなくて、その子どもも、また貧困。そういう家庭、増えてますよ。ボクは、予備校に通わせてもらえるから恵まれているけど」(男子・予備校生)
安倍政権が掲げる“女性が活躍する社会”に対しても、「絵に描いた餅」との声が。
「待機児童問題も解消されないし、女性はいまだに、仕事か出産かの二者択一を迫られている。私は仕事をとります。結婚も出産もしません」(18歳・女子高生)
こんなイマドキの子たちに共通していたのは、きちんと社会について考えているのに、ふだんはほとんど「政治の話しはしない、しにくい」と答えたことだ。国会前で「憲法改正反対!」「安保法制反対!」を訴えてデモを行う高校生グループ、「ティーンズソウル」のメンバーたちの意見はどうか。
「安倍さん! 憲法はあなたのものではありません。憲法は、あなたの暴走を止めるためにあるんです!」
6月10日、国会前のデモで、安倍総理にそう力強く訴えていたのは、「ティーンズソウル」代表メンバー、福田龍紀くん(18・浪人生)。7月の参院選で、政権与党が憲法改正の発議に必要な3分の2議席をとると、自民党の改憲草案が現実になる可能性が高いと、危機感を募らせる。彼らにとっては、学費や教育も大きな問題だ。
「日本の学費は、先進国の中でいちばん高い。税金の使い方を見直せば下げられるはずなのに、みんな『日本に生まれたんだから、しょうがない』と言って、本質的な問題から目を反らせて、声を上げようとしないのはオカシイ」
そう話すのは、同メンバーのちるちるさん(18歳・女子高生)。ちるちるさんは、「学費の問題を訴えていたら、奨学金の無利子化を政策課題として掲げる政党が増えた」と話す。福田くんも「国民主権なんだから、変えるのは首相ではなく、僕たち」と、自信を見せる。『18歳選挙世代は日本を変えるか』の著者・原田曜平さんは、18歳をこう分析する。
「彼らは生まれたときから少数派だから、マイノリティに対する優しさを持っています。たとえ税金が上がっても、社会的弱者に必要な政策がとられるなら、それでいいと考える人が多い」
原田さんは、こんな彼らを“さとり世代”と呼ぶ。
「彼らは少なくとも、一部の高齢者のように『家の近くに保育所ができたらうるさいから反対!』なんて、みっともないことは言いません」
そんな彼らがこぞって投票に行くことで、「自分さえよければ」という“エゴ社会”から、他者の痛みがわかる、人に優しい“エコ社会”になるかもしれない。