OAとしてリオ行きが内定した塩谷(33番)と藤春。優勝争いには絡んでいないチームから差し出された感じだね。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 少し前の話になるけど、リオ五輪を控えるU-23代表では、オーバーエイジ(以下、OA)として参戦するふたりが内定した。
 
 3人まで呼べるOAのうち、ひとりはガンバの藤春、もうひとりがサンフレッチェの塩谷ということだ。第1ステージの結果を気にしたような選出で、優勝に絡んでいないチームから差し出された感じだね。

 個人的には、手倉森監督の本音を聞いてみたいよ。「本当のところは誰を呼びたかったのか?」と。

 藤春も塩谷も、A代表に関しては、いわば当落線上の選手だ。なぜ、A代表のレギュラークラスを招集できなかったのか。欧州組との交渉はどうだったのか。

 インテルの長友もOA候補として名前が挙がっていたと思うけど、感触はどうだったのか、そもそもアプローチしたのかなど、そのあたりの真相をぜひとも知りたいんだ。

 インテルの選手は、EUROにもコパ・アメリカにも出場している。その中のひとり、ミランダはOAの候補のひとりと言われているけど、仮にミランダが五輪にも参戦したとして、手倉森監督が長友を欲していたとしたら、長友を引っ張ってこられなかった協会の仕事ぶりには不満が残るよ。

 目標としているメダルを獲得できれば、なんの問題もない。でも、グループリーグ敗退など、結果を出せなかった時は、誰が責任を取るのか。キリンカップでは勝てなかったんだから、組織としてそこはきっちりとケジメをつけてほしいよ。

 長友なり、本田なり、たとえ招集の可能性が低くても、せめてリストには入れておいて、それを発表するとか、そんなパフォーマンスというか、戦略的なものがあっても良かったと思うんだけどね。スウェーデン協会は、30人以上の予備メンバーを発表した。そしてリストには、EUROに参戦しているイブラヒモビッチの名前も含まれていたという。

 それだけで話題性は十分。ブラジル代表にOAとして参戦が確定しているネイマールも、注目を集めている。翻って、日本はどうか。A代表に定着していない選手を呼んでも、インパクトはないし、もし最初から欧州勢は諦めているとしたら、それだけで強豪国からも後れを取っていると言えるよね。
 
 藤春も塩谷も、選手としての実力は間違いない。ただ、彼らには申し訳ないけど、ネームバリューにはやや欠ける。ニュース性に乏しいというか、実際、ふたりが所属するガンバとサンフレッチェは今季のリーグ戦で成績が芳しくなく、メディアにもあまり取り上げられていない。

 五輪は、世間の目をサッカー界に向かせる意味でも、本当に重要なイベントだよ。開催国のブラジルはもちろん、前述したスウェーデンやコロンビアも実際に入れるかどうかはともかく、強力なメンバーをちらつかせて、メディアの興味を引いたり、他国をけん制したり、駆け引きをしていると思う。それが結果的に国民の関心を高めるんだ。日本は正直な国だと思うよ。
 
 せめて、2年前のブラジル・ワールドカップに出場した選手とかなら、世間一般の関心もあったんじゃないかな。そうなればチームも注目されて、若い選手たちのモチベーションにもつながり、チームの士気にもいい影響を与えると思うんだけどね。

 OAの枠はあとひとつ。誰が選ばれるかは気になるところだね。