先日、せんべいを食べていたら、パッケージに書かれた「住所」にクギ付けになった。


パッケージに書かれた長い住所

「福岡県直方市下境2400番地字餅米もちだんご村餅乃神社前」

もちだんご村って、どんな村なの? そもそも番地の後に「字」が来ていいの? しかも「餅乃神社前」って、住所というより位置関係でしょ!!! ――完全に魅了されてしまったJタウンネット記者は、メーカーに電話してみることにした。

敷地内に「餅乃神社」は実在した

この商品を出しているのは「もち吉(きち)」。「餅のおまつり」といったスタンダードなおせんべいから、チョコをまとった「あられクランチチョコ」まで、バリエーション豊富な商品を出している米菓メーカーだ。上記の住所に本社を構え、通信販売のほか、全国各地に店舗網を持っている。

住所について「もち吉」の広報部門を担う「もち吉エージェンシー」に聞くと、かつて工場近辺は「字餅米」と呼ばれていたと明かしてくれた。公式サイトによると、かつて一帯が良質なもち米の産地だったことに由来するという。

もち吉 直方本店(toshifukuokaさん撮影、flickrより)

「もちだんご村」は工場併設の店舗、そして「餅乃神社」は敷地内にもち吉が建立した神社のこと。通販を開始した20年ほど前から、この住所を使用していて、郵便を届けるうえでも特段問題ないのだそうだ。

「なんとなく、なつかしみを感じるじゃないですか。『もちだんご村』とか、里山みたいな雰囲気で。そして『餅乃神社』がある。そういう情景をみなさんが描かれるように、ということですね」

実際の餅乃神社(もち吉エージェンシー提供)

目指すのは「昔なつかしい里」

郷愁あふれる、もちだんご村。パッケージ上だけでなく、実際の「街づくり」にも取り組んでいるという。

「せんべいがある、もちがある、だんごがある。それから天然の地下水が出るんですよね。豆腐も作っています。昔なつかしい『里』を目指しているんです。そういうストーリー的な志があります」

餅乃神社では毎月祈願が行われる(もち吉エージェンシー提供)

近代的な工場を建てる一方で、「見て楽しんでもらう」ために三連水車を設置。さらに水車のかたわらには、そば屋をオープン予定だという。

「結局は、来て楽しくなるところにしよう、ということです。まあ、いっぺん見に来られることですよ。ハッハッハッ」

取材をするまで、ただのインパクト狙いかと思っていた記者。そこに込められた「やさしさ」と「アツい思い」を知って、興味本位で話を聞いてしまったことを、少し反省した。九州を訪れた際には、ぜひ「餅乃神社」にお参りしてこようと思う。


きょうも「もちだんご村」を守っている(もち吉エージェンシー提供)