かほく市はなぜ「日本一ママにやさしい街」を目指す? 市の担当者に聞いてみた
石川県かほく市。人口およそ3万5000人のこの地方都市が、一部で注目を集めている。
東洋経済が全国の都市を「安心度」や「利便度」などの要素から採点した「住みよさランキング2015」で、かほく市は第9位にランクインした。いったいどのような点が評価されているのか。2016年2月27日、東京・丸の内で開催されるPRイベントを前に、市総務部企画情報課の松原宏明さん、桶作文弥さんらに話を聞いた。
適度な便利さと恵まれた自然
かほく市は石川県の中部に位置する。ゴムひも(生産量日本一)などをはじめとする、繊維工業が盛んな町だ。哲学者の西田幾多郎の出身地、また県民のソウルフード「とり野菜みそ」のまつやが本社を置くことでも知られる。
こちらは、市のマスコットキャラの「にゃんたろう」。2月18日、編集部にて撮影
現在、地方自治体の多くが頭を抱えるのが、少子高齢化による人口減の問題だ。石川県内でも、北部を中心に5市4町が、いわゆる「消滅可能性都市」として日本創成会議のレポートに名前が挙がっている。
こうした中、かほく市が持つアドバンテージが、金沢市との近さだ。その距離およそ20キロ、十分通勤圏内である。また市内にも商業施設が比較的充実する。それでいて、西に面する日本海をはじめ、自然も豊かだ。
石川県内で「移住」といえば、奥能登のように「田舎暮らし」の魅力を打ち出すところが多かった。だがかほく市は将来の人口減も見据え、主に若い子育て世代を重視して、「便利さ」と「自然環境」のバランスを売りにしたアプローチに力を入れている。
スタートした「ママ課」プロジェクト
そこで目標に掲げたのが、「日本一ママにやさしい街」だ。
元々、かほく市は制度面も含め、子育て環境が比較的良好な街だったという。各種の助成や支援もそうだが、市職員で、自身も小学生の子どもを持つ市民部子育て支援課の谷崎泉さんは、
「これはかほく市だけではなく、石川県全体がそうなのですが、保育所が充実しているため『待機児童』はゼロ。また休日保育や学童保育の制度も充実しているので、いわゆる『小1の壁』(共働きの家庭が、子どもが小学校に進学したことで、これまでのように仕事を続けるのが難しくなる問題)もあまり感じませんでした」
と語る。
この長所をさらに生かすべく、最近始動したのが「かほく市ママ課プロジェクト」だ。実際に子育て中の女性10人を「ママ課」のメンバーとして起用、「現場」の目線から、必要な施設やサービスなどを提言してもらう、という中長期的な計画だという。
「子育てアプリ」にさっそくご意見が...
たとえば、市が公式アプリとして配信している「子育てにゃんでもトーク」についても、ママ課のメンバーからは「もっとこうしたら......」といった「ご意見」が続出。今後の改善が予定されているのだとか。
27日、丸の内の東京シティアイで開催されるイベント「かほく団欒(だんらん)フェア」ではこうしたママ課メンバーとの情報交換会や、移住相談窓口などを通じて、かほく市の取り組みをPRするとのこと。マスコットキャラクター「にゃんたろう」のステージや、特産品の試食・販売も行われる。入場無料。10〜17時。