au春モデルは「格安スマホ」化? ミッドレンジ志向鮮明、背景に販売奨励金削減の動き(週刊モバイル通信 石野純也)
auが春モデル4機種を発表しました。目玉は、auオリジナルブランドで京セラ製の「Qua Phone」。価格を抑えて2台持ちを図った「Qua Tab」のスマホ版という位置づけで、一括価格は5万円台、実質価格は2万円台前半になる見込み。
KDDIの代表取締役社長、田中孝司氏は、「ミッドレンジをビジネスとして成り立たせるようにしていきたい。そのテストケース」と語っており、この端末の売れ行きの成否が、今後のラインナップ展開を見ていくうえでの鍵になりそうです。
Qua Phoneは、5インチ、1280×720ドットのHD液晶を搭載し、チップセットには1.2GHz駆動の「Snapdragon 410」を採用。メモリ(RAM)は2GB、ストレージ(ROM)は16GBと、昨今流行の「格安スマホ」に近いスペックを備えています。
とは言え、そこは国内メーカーでauオリジナルモデル。背面にはアルミニウム合金を使い、防水、防塵、耐衝撃性能を備えるなど、オリジナリティを出しています。「auシェアリンク」にも対応して、表示中のWebをタブレットに転送して続きを見たり、逆にタブレットからWebに載っている電話番号をタップしてQua Phoneで電話を発信したりといった連携も可能です。
auオリジナルモデルの「Qua Phone」
背面にはアルミを採用
タブレットとの連携機能も充実
京セラ独自機能として、「スマートソニックレシーバー」も採用。これは、ディスプレイ全体がスピーカーになる機能で、電話をするときに、画面のどこに耳を当てても相手の声が聞こえるようになります。一般的なスマホのように、本体を構えたあと、スピーカーが耳にきっちり当たるように調整する必要がなくなるというわけです。
同時にauはファーウェイ製の「Qua Tab」(2号機)も発表しており、こちらも「Snapdragon 615」を搭載するミッドレンジモデル。10.1インチと大画面で、ステレオスピーカーを搭載し、サラウンド再生にも対応しているのが特徴です。こちらも、実質価格は1万円程度に抑えられる見込み。Qua Phoneと同様、auオリジナルブランドの端末は、"買いやすさ"を重視していると言えます。
10.1インチのファーウェイ製「Qua Tab」
auは、冬モデルにも、「ソープスマホ」こと「DIGNO rafre」を投入しており、こちらも京セラ製のミッドレンジモデル。このタイミングで、ハイエンド以外の端末を増やしてきたのには、ある思惑があります。
冬モデルの「DIGNO rafre」もミッドレンジだった
背景には、総務省のタスクフォースで決まった、販売奨励金削減の動きがあります。このタスクフォースの結論として出された「取りまとめ」には、一括0円や実質0円が好ましくないとされています。
これを素直に受け止めると、キャリアのハイエンド端末は、どうしても従来より、高くなることは避けられません。一括価格はそれほど変わらないにしても、実質価格でも今までのように、発売直後から0円という打ち出し方ができなくなります。
田中氏も「これからは、どちらかというとミッドレンジ。販売奨励金(削減)の話もあるので、ここは重視していかなければならない」と語っています。「arrow Fit」を投入したドコモや、ワイモバイルでミッドレンジモデルを拡大するワイモバイルと同様、auも戦略的に低価格な端末を目玉に据えたというわけです。
ミッドレンジ強化の狙いを話す田中氏
ドコモもすでにミッドレンジを強化している
とは言え、田中氏によると、まだミッドレンジモデルの売り方は模索中の段階にあることが分かります。ミッドレンジの実績を問われた田中氏は、「まだハイエンドが先に出ていく」と語り、実際には売れ行きがまだまだであることを認めています。auは、これに対するテストとしてQua Phoneを投入します。
これまでは、販売奨励金が手厚くついていたため、ハイエンドとミッドレンジの価格差が分かりにくかったことも、ミッドレンジが浮上しなかった要因。この差が埋まっていき、Qua Phoneのように独自性をきっちり打ち出した端末があれば、auのようなキャリアでもミッドレンジモデルが台頭するようになるのかもしれません。
Qua Phoneに限らず、auではミッドレンジモデルを強化する方針。会見では、同社のプロダクト企画本部長、小林昌弘氏が「オリジナルブランドでベーシックラインを構築する流れを作りたい。今後も、(ミッドレンジの)ラインナップは拡充させていく」と述べています。
余談にはなりますが、田中氏は「春になるともう少し増えたり......」と、さらなる機種の追加をにおわせています。一方で、ドコモの代表取締役社長、加藤薫氏も、冬春モデルの発表時に、「この世界は何があるのか分からないので」と述べており、新機種が登場する可能性を否定しませんでした。
各社経営陣の発言をすり合わせると、ウワサされている「廉価な話題のスマホ」がラインナップとして控えているのではないか......そんな予感もしてきます。実際に何が出るのかはまだ未知数ですが、この春は、何らかのサプライズがあるのかもしれません。
KDDIの代表取締役社長、田中孝司氏は、「ミッドレンジをビジネスとして成り立たせるようにしていきたい。そのテストケース」と語っており、この端末の売れ行きの成否が、今後のラインナップ展開を見ていくうえでの鍵になりそうです。
【ギャラリー】au春モデルは「格安スマホ」化? (8枚)
Qua Phoneは、5インチ、1280×720ドットのHD液晶を搭載し、チップセットには1.2GHz駆動の「Snapdragon 410」を採用。メモリ(RAM)は2GB、ストレージ(ROM)は16GBと、昨今流行の「格安スマホ」に近いスペックを備えています。
とは言え、そこは国内メーカーでauオリジナルモデル。背面にはアルミニウム合金を使い、防水、防塵、耐衝撃性能を備えるなど、オリジナリティを出しています。「auシェアリンク」にも対応して、表示中のWebをタブレットに転送して続きを見たり、逆にタブレットからWebに載っている電話番号をタップしてQua Phoneで電話を発信したりといった連携も可能です。
auオリジナルモデルの「Qua Phone」
背面にはアルミを採用
タブレットとの連携機能も充実
京セラ独自機能として、「スマートソニックレシーバー」も採用。これは、ディスプレイ全体がスピーカーになる機能で、電話をするときに、画面のどこに耳を当てても相手の声が聞こえるようになります。一般的なスマホのように、本体を構えたあと、スピーカーが耳にきっちり当たるように調整する必要がなくなるというわけです。
同時にauはファーウェイ製の「Qua Tab」(2号機)も発表しており、こちらも「Snapdragon 615」を搭載するミッドレンジモデル。10.1インチと大画面で、ステレオスピーカーを搭載し、サラウンド再生にも対応しているのが特徴です。こちらも、実質価格は1万円程度に抑えられる見込み。Qua Phoneと同様、auオリジナルブランドの端末は、"買いやすさ"を重視していると言えます。
10.1インチのファーウェイ製「Qua Tab」
auは、冬モデルにも、「ソープスマホ」こと「DIGNO rafre」を投入しており、こちらも京セラ製のミッドレンジモデル。このタイミングで、ハイエンド以外の端末を増やしてきたのには、ある思惑があります。
冬モデルの「DIGNO rafre」もミッドレンジだった
背景には、総務省のタスクフォースで決まった、販売奨励金削減の動きがあります。このタスクフォースの結論として出された「取りまとめ」には、一括0円や実質0円が好ましくないとされています。
これを素直に受け止めると、キャリアのハイエンド端末は、どうしても従来より、高くなることは避けられません。一括価格はそれほど変わらないにしても、実質価格でも今までのように、発売直後から0円という打ち出し方ができなくなります。
田中氏も「これからは、どちらかというとミッドレンジ。販売奨励金(削減)の話もあるので、ここは重視していかなければならない」と語っています。「arrow Fit」を投入したドコモや、ワイモバイルでミッドレンジモデルを拡大するワイモバイルと同様、auも戦略的に低価格な端末を目玉に据えたというわけです。
ミッドレンジ強化の狙いを話す田中氏
ドコモもすでにミッドレンジを強化している
とは言え、田中氏によると、まだミッドレンジモデルの売り方は模索中の段階にあることが分かります。ミッドレンジの実績を問われた田中氏は、「まだハイエンドが先に出ていく」と語り、実際には売れ行きがまだまだであることを認めています。auは、これに対するテストとしてQua Phoneを投入します。
これまでは、販売奨励金が手厚くついていたため、ハイエンドとミッドレンジの価格差が分かりにくかったことも、ミッドレンジが浮上しなかった要因。この差が埋まっていき、Qua Phoneのように独自性をきっちり打ち出した端末があれば、auのようなキャリアでもミッドレンジモデルが台頭するようになるのかもしれません。
Qua Phoneに限らず、auではミッドレンジモデルを強化する方針。会見では、同社のプロダクト企画本部長、小林昌弘氏が「オリジナルブランドでベーシックラインを構築する流れを作りたい。今後も、(ミッドレンジの)ラインナップは拡充させていく」と述べています。
余談にはなりますが、田中氏は「春になるともう少し増えたり......」と、さらなる機種の追加をにおわせています。一方で、ドコモの代表取締役社長、加藤薫氏も、冬春モデルの発表時に、「この世界は何があるのか分からないので」と述べており、新機種が登場する可能性を否定しませんでした。
各社経営陣の発言をすり合わせると、ウワサされている「廉価な話題のスマホ」がラインナップとして控えているのではないか......そんな予感もしてきます。実際に何が出るのかはまだ未知数ですが、この春は、何らかのサプライズがあるのかもしれません。