韓国相手に12安打5得点の好調打線、その中でも「一番いいのが中村、松田」

 世界野球プレミア12開幕戦(8日・札幌ドーム)では、日本が韓国を5-0で下した。初代王者を目指す日本は大谷(日本ハム)、則本(楽天)、松井(楽天)の完封リレー。さらに、攻撃陣も12安打5得点と韓国投手陣相手に終始、優位な形で試合を進めた。

 開幕戦を振り返り、ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜と4球団で捕手として活躍した野口寿浩氏は「いい姿を見せてくれた」と毎回安打を放ち、活発だった日本打線を絶賛。一方で、グループB突破がかかる11日からの戦いには「上から目線になると、ちょっと怖いですね」とし、手元で動くボールを駆使する対戦相手の投手たちへの対応をポイントに挙げた。

「出だしはラッキーだったけど、徐々に硬さも取れて、いい姿を見せてくれた。最後、山田にもヒットが出たし、筒香にしろ、秋山にしろヒットは出ませんでしたが、ライナー性を相手に捕られた当たりがあったので」

 この日、スタメン野手では秋山(西武)、筒香(DeNA)以外の全員に安打が記録されたが、この無安打の2人も「そんなに心配しなくていいんじゃないか」と分析。日本打線が好調であることを強調した。

「大谷のピッチングも安打数も含めて、点差以上に圧勝だった気がするんですよね。5-0というか、8-0とかそういう雰囲気の試合だった。その点ではもうちょっと点が入ったらよかった気はします。

 一番いいのが中村、松田じゃないかという印象を受けたので、いい傾向にありますね。4番バッターと、しっかり支えるキープレイヤーということでね。いい感じなんじゃないですか」

 野口氏は、今大会で初めて日の丸を背負い、4番を務める中村剛も状態はいいと見ている。

「2番・坂本」「8番・平田」が基本線「平田だって右・左で代えられる選手じゃない」

 さらに「2番、8番がどうなるんだといわれていましたけど、(韓国戦の)5打点中、4打点でしょ? そうやって考えるとしっくりと打順がはまったのかなと」と、全打点を叩き出した坂本(巨人)、平田(中日)の両選手の活躍を振り返った。

「例えば右の変則が出てきた時に平田ではなく、中村晃が出てきたりなど、そういう出たり入ったりはあるでしょうけど、だいぶ形にはなったんじゃないかなと。プエルトリコの2試合も含めて。

 ショートに関しては坂本が2番を打つのか、8番を打つのか。プエルトリコ戦でも8番を打ったりしていたから、そういう動きはあるでしょうけど、意外といいつながりを見せていたので、このままいくのが手じゃないかなという気がしますね。平田だって自分のチームにいれば右・左で代えられる選手じゃないし、どんなピッチャーでも『打って来い』って送り出される選手なんでね」

 韓国戦のオーダーに手応えを口にした野口氏。だが、11日から続くメキシコ、ドミニカ、米国、ベネズエラとの戦いには注意しなければならない点があるという。

「攻撃陣が一番怖いのが、そんなに球が速くないんだけれども、外国人特有の動くボール。いつでも打てそうに見えるんだけど、打てないでいつの間にかやられちゃったというのが怖い。そういうタイプのピッチャーも打線としてしっかり攻めていければいいんじゃないかと思いますけどね」

「上から目線になると、ちょっと怖い」も、「全員束になれれば、日本はトップクラス」

 プエルトリコとの強化試合2戦目。相手投手陣は軒並み140キロに満たない速球ながら、特有の動くボールに惑わされ、8回まで1得点とリードを許す展開だった。そんな「打てそうで打てない」という状態になることを野口氏は危惧する。

「いつでもいけそうだと思っちゃうと、基本的に上から目線になると、ちょっと怖いですね。韓国先発の金廣鉉(キム・グァンヒョン)のような『いいピッチャー』『過去に日本がやられたことがある』という投手を相手にすると、少し謙虚な気持ちで打席に入るじゃないですか。そういう気持ちが常にあればね。たとえば、ベンチで見てて『こいつ、いつでも打てそうだな』と思っちゃうと、それが落とし穴になるんじゃないかなと思いますね」

 普段対戦することが少ない、動くボールを主体とするタイプの投手たちと対戦する際の打者心理をこう分析。「韓国戦の選球眼の良さに関しては、コーチがそういう指示を出したと言っていましたが、それがみんな守れたからそうなったわけで」と謙虚な姿勢が好結果につながったと考察した。

「個々の能力として、たとえば遠くへ飛ばす力とか、そういうのを見ると決して上ではないと思うんですよ。でも、日本はその代わりに『スモールベースボール』と言われたような戦い方がある。繋がりとか、粘りとか、日本の戦い方がある。それがしっかり出来れば、総合力では、打線として9人全員で束になってかかっていったら日本はトップクラスだと思う。そういう戦いが出来ればいいですね」

 日本の野球を体現することこそが、グループB突破の一番の近道。打線が韓国戦で見せた繋がり、粘りを持続できるならば、決勝トーナメント進出の道は自然と開かれるはずだ。