さっそくブーイング浴びてしまった豊田章男氏(10年2月撮影)

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「私は財布ではありません」――。名古屋グランパスエイトの新会長に就任したトヨタ自動車豊田章男社長(58)は、会見でこう明言した。サポーターの間で高まっていた、大型補強待望論に釘を刺した格好だ。

一方でリーグトップ4入りという高い目標を掲げたが、具体的なビジョンは見えない。早くもサポーターからは「トヨタはケチ」「金持ってるスポンサーがケチってどうするんだよ」とブーイングを浴びせられている。

「トップ4どころかボトム4争いが定位置になりそうだ」

2015年4月16日、名古屋市内で行われた会見で豊田新会長は、記者から選手補強について聞かれ、

トヨタ自動車と聞くとすぐお金の話題が出ますが、私は財布ではありません」

とジョークを飛ばした。さらに「すぐに資金を期待されても、それは現実離れした話題」として、メーンスポンサーであるトヨタ自動車から資金を受ける形での大型補強を否定した。

豊田氏は「常にリーグのトップ4に位置しているクラブになってほしい」と高い目標を掲げているが、ハードルは低くない。優勝は10年以来遠ざかり、近3年は10位、11位、7位と中位低迷が続く。今シーズンも第5節終了時点で13位、なんとか降格圏内に落ちないよう踏みとどまっているのが現状だ。

日本代表に選ばれた田口泰士選手など中心選手に長期離脱が多く、これまでも補強を訴えるサポーターは多かった。それだけに豊田会長の発言は「補強はしない」というメッセージだと一部のサポーターには受け止められている。

ツイッターなどネットには、

「なんで補強しないんだよ、夢見させてくれよ」
「トップ4どころかボトム4争いが定位置になりそうだ」
「半分くらい入れ替えないと上位にいけないだろ」

と失望が広がる。

さらには「トヨタはケチだから正直期待できない」「ケチ男就任でクラブ経営に『カイゼン』を求められます」など、トヨタ自動車の企業文化をくさすブーイングまで飛び出しているのだ。

「トヨタ方式」がグランパスにも?

トヨタ自動車といえば「必要なものを、必要な時に、必要なだけ生産する」という考え方にもとづき、徹底してムダの排除を図る「トヨタ方式」が知られている。それだけに

「トヨタ生産方式よろしく、低コスト高効率を追求か。部品メーカーへの凄まじい値下げ要求よろしく、選手の年俸も...」
「まずはリストラから始める」
「トヨタ方式導入してサブの選手を整理します」

とやゆする声も上がっている。

会見では同じくトヨタ自動車出身で社長から副会長にスライドした佐々木眞一氏も、

「クラブが勝てば営業成績が上がる、営業成績が上がれば優れた選手を獲得できる、このような循環がはじまるのが今だと思っています」

と話し、近々の補強はないことを臭わせた。補強による戦力アップが望めないとして、サポーターからは「あーあ。今年も中位かぁ」「残留争いをしない程度の戦力はそろえてくれよ」と投げやりな意見が出ている。