ライブドア(LD)事件で、25日に東京地裁で開かれた元社長、堀江貴文被告(33)の第18回公判で、証人として出廷した伊地知晋一・元執行役員副社長は粉飾の事実は認めたものの、「堀江さんが宮内(亮治)さんの了承を得ないで、ファイナンスのことをやることはないと思う」と述べ、堀江被告が事件を主導したとする検察側の構図に疑問を投げかけるような証言を行った。

 弁護側が堀江被告と宮内被告の社内での力関係を尋ねられると、堀江被告と社内で席が隣だった伊地知元副社長は「明確ではないが、ファイナンスの人間は宮内さん、それ以外は堀江さんの言うことを聞いていた」と証言。「堀江さんが宮内さんの了承を得ないで、ファイナンスのことをやることはないと思う」と述べ、検察側の「堀江主導説」に疑問を投げかけ、弁護側の「宮内主導説」に沿った証言をした。

 宮内被告と堀江被告との関係について、伊地知元副社長は「宮内さんは堀江さんのことを公の場では“社長”と呼んで、いないところでは“堀江”と呼び捨てにしていた」といい、「宮内さんは『稼ぐヤツが一番偉い』と言っていた」ことも明かした。

 一方堀江被告は、宮内被告に対して「宮内さんが稼ぎ頭なので一目置いていたし、宮内さんの判断を信頼していた」と語り、伊地知副社長が宮内被告を怒らせた際には「堀江さんは、宮内さんをあんまり怒らせないで、と言っていたと思う」とも述べた。

 堀江被告と宮内被告は意見を戦わせることもあったといい、「給料の査定の会議では、(LDが採用している)360度評価をめぐって、能力とは別に人気があるだけで評価が上がってしまう点について、両方机を叩いて激論していた」と明かした。

 伊地知副社長は、堀江被告について「違法だと思うことはやらない人だと思う。事業のアイデアについて話していても、『〜法で規制されているから無理だよね』などとよく言っていた」などと語った。【了】

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