ライブドア(LD)事件で、25日に東京地裁で開かれた元社長、堀江貴文被告(33)の第18回公判で、証人として出廷した伊地知晋一・元執行役員副社長は粉飾の事実は認めたものの、堀江被告からの指示については「覚えていない」と証言した。

 伊地知元副社長は検察側、弁護側双方の証人。事件当時はメディア事業部の責任者をしていた。

 これまでの公判で、当初赤字たっだライブドア・マーケティング(LDM、当時はバリュークリックジャパン)の同年4−6月期決算について、2004年7月12日の戦略会議で堀江被告がメディア事業部からの利益の付け替えを指示した、と検察側は主張。当時のLDM社長など複数の幹部がこの主張に沿った証言をしている。

 弁護側の尋問で、戦略会議で堀江被告から受けた「(LDMに対して)なんで売り上げを付けてあげないの」との指示について、伊地知元副社長は「覚えていない」と証言。当時のLDM社長が堀江被告に詰め寄られたり、ファイナンス事業部を担当していたLD元取締役、宮内亮治被告=分離公判中=が「うちから金を出してあげるから」と割って入った記憶もないと語った。

 この件に関して、宮内被告は9月20日の公判で、04年6月後半−7月上旬にLDM4−6月期が赤字であることについて、当時のLDM幹部に頼まれて堀江被告にとりなしに行き、黒字化を指示されたと証言。ただ、7月12日の戦略会議の段階ではまだ赤字になっていたため、堀江被告が「なんで赤なんだ。伊地知さんのところで売り上げ付けるんじゃないの。なんでやらないの」と言ってとても怒ったと、宮内被告は述べている。

 また、LDM元社長も9月12日の公判で、7月の戦略会議で堀江被告がLDM4−6月期決算が赤字だったことについて「なんでまだ赤字のままなんだ。うちのメディアから売り上げを立てろっていったじゃないか。なあ伊地知」と発言したと証言。

 さらに、当時LDMの次期社長候補だった岡本文人被告も10月13日の公判で、「堀江さんが『なんで赤字なんですか。こっちも協力しますから黒字にしてください。伊地知さん、発注してください』と言った。赤字であるLDMにメディアから売り上げを計上してくださいということで、もう終わっている期だから粉飾と認識した」と証言。また、「伊地知さんはもごもごしながら『今、準備しています』と的を得ない回答をした、宮内さんから『ファイナンスから売り上げつけてあげるから』と助け舟が出ると、堀江さんは『じゃあ、黒字化お願いします』と言った」と述べている。【了】

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