先日、中国・四川省の四川職業技術学院の女子大生約40人が、北京で家政婦として働くために集団で上京し、「高学歴のお手伝いさん」として話題を集めているとのニュースを見かけた。まさか、中国にもメイドをはじめとする萌え文化が伝播したのだろうか? やっぱり中国だから「メイド」ではなく、「家政婦」と漢字表記するのかしら? なんて思っていたら、日本のような「ご主人さまぁ〜♪」的なものではないらしい。実はこの中国のミニ家政婦ブーム、就職難からきているらしいのだ。

 中国といえば、ここ最近目覚しい経済成長を遂げている。だったら企業の募集も増えそうな気がするが・・・。現に中国の国有企業や民間企業も積極的に大学生を採用しているようだ。ならば、なぜ就職難が起こるのだろうか?

 原因は、大学生の数。中国では国の政策で、99年から学生の募集要員や大学の数を急激に増やしたのだが、それが原因だと考えられている。中国教育部の「04年全国教育事業発展統計広報」(05年4月発表)によると、「全国の大学生の総数は2000万人を超え、一方で新入学生の募集数は約447万人と、総学生数・新入学生数ともに増加傾向が続いている」と、記されている。98年の募集数が約108万人というから、この10年弱で規模が約4倍にも拡大したことになる。

 いくら経済が成長しているとはいえ、こんなに急激に大学生が増えてしまったら、労働供給も間に合わないだろう。しかも、大卒は「ホワイトカラーの人間になる!」という思いが強く、みんな高賃金を希望し、できるだけ大きな会社に入りたいという意識を持っている。しかし高水準な人材に対する労働需要は、もちろんそんなにたくさんあるはずがない(ブルーカラーの雇用は多いが)。

 そんなわけで、中国の就職競争は日本以上。学校をしばし離れて家政婦さんになったり、就職難の波に巻き込まれたくなくて大学院に進学する学生が多いのだとか。ちなみに家政婦の月収は1000元(日本円で約1万4000円)程度なり。勤める先は北京の3高家庭だそうだから、日本人としてはやっぱり「おかえりなさいませ、ご主人さまぁ♪」っぽい場面を想像してしまいます。 (遠藤麻衣/verb)