西武鉄道株の名義偽装事件で、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載、インサイダー取引)の罪に問われたコクド前会長の堤義明被告(71)の判決公判が27日、東京地裁(栃木力裁判長)で開かれ、栃木裁判長は、堤被告に対して懲役2年6月、執行猶予4年、罰金500万円(求刑懲役3年、罰金500万円)を言い渡した。

 同法違反の罪に問われた法人としての西武鉄道(埼玉県所沢市、後藤高志社長)とコクド(同、大野俊幸社長)には、求刑通り、それぞれ罰金2億円、1億5000万円を言い渡した。

 判決理由で栃木裁判長は、堤被告について「西武グループの総帥として、名義偽装株を知っていながら放置して虚偽記載を指示した」などと述べ、各犯行で主導的役割を担ったと結論づけた。そして「犯行が経済界、一般社会に与えた衝撃は大きい」と述べた。執行猶予の理由としては「スポーツ振興に貢献し、すでに社会的制裁を受けている」とした。

 堤被告は、濃いグレーのスーツ姿で入廷。判決は、身じろぎ一つせず、直立したまま聞いた。判決理由の朗読が終わると、最後に深々と頭を下げた。

 判決によると、西武鉄道株について、グループ中核企業のコクドが上場廃止基準を越す約65%を保有していたにも関わらず、堤被告は、2004年3月期の西武鉄道の有価証券報告書の株保有比率を約43%と実際より少なく記載して関東財務局長に提出。また、同9月、虚偽記載の事実を告げずに、コクドが持っていた西武鉄道株を取引先10社に売却した。【了】

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